大澤正明知事は5日、中小企業向け制度融資「経営サポート資金」の昨年12月の利用額が、同11月の約3倍に及ぶことを明らかにした。秋以降に利用が急増、昨年12月に融資枠を拡大したばかりだが、残り枠は再びギリギリの状況となった。一方、前橋市の高木政夫市長は09年度予算の財源が不足するとの見通しを明らかにするなど、昨年秋からの世界的な景気悪化を受け、各地で厳しい仕事始めとなった。
県の経営サポート資金は08年度当初、年額370億円でスタートした。予想以上の利用に、9月補正で450億円に拡大。この前後からの金融危機や、融資を利用できる指定業種拡大の影響で、10月は約45億円、11月は約91億円と増え続けた。
11月末時点の累計利用額は約358億円で融資枠は残り約92億円となり、県は12月補正で250億円を再追加、総額700億円とした。12月に200億円台後半まで利用が急増したことで、再び残り数十億円にまで減った計算だ。
知事は5日の記者会見で、融資枠拡大について「1月の状況を見て2月(補正)でどう対応するか考える」と述べ、今後の状況を見極めたうえで判断する考えを示した。
一方、「県内には(住居を失った派遣労働者らのために東京・日比谷公園に設置された)『年越し派遣村』のようなものはない」と説明したが、失業に伴いホームレス化した人の実態は、把握できていないという。
群馬労働局によると、昨年10月から今年3月の間に職を失う県内の非正規労働者2385人(昨年12月19時点の調査)のうち、住居の状況が把握できているのは155人だけ。この中に住居を失う人はいないとしているが、残りは不明で、実態の把握を急ぐ。【塩崎崇】
毎日新聞 2009年1月6日 地方版