憂楽帳

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憂楽帳:大問題

 買い物客らでごった返す東京・渋谷。雑踏の中に立つ下谷芳男さん(61)は「ビッグイシュー」の販売を続けている。ビッグイシューはホームレスの人に働く機会を提供し、自立を支援する雑誌。1冊300円で、160円が販売員の収入になる。下谷さんは昨年末、2年7カ月ぶりにホームレスを脱し、晴れてアパートに入居することができた。「多くの人に支えられて、今が一番幸せ」と満足そうにほほ笑む。

 03年の創刊時、ホームレスといえば中高年の失業問題で、販売員も50代が中心だった。それが昨年春ごろから30代の若い人が目立ち始めた。「世界的不況と『派遣切り』で、これからどの程度、若い人が増えるのか想像もつかない」とビッグイシュー日本の佐野章二代表は懸念する。経験と実績がある中高年者への自立支援と違い、認識も行動パターンも異なる若者への支援策はまだ調査研究の途上という。

 職の提供にとどまらず、いかに生きる希望を持たせ、社会復帰に向かわせるのか。それは私たちに突きつけられた問題でもある。【山崎友記子】

毎日新聞 2009年1月6日 13時03分

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