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帰省ラッシュの渋滞。初詣での車の列。年始めに見た車社会の現実だった。新車販売は34年ぶりの低水準というが、暮らしの中で、車への依存は後戻りできない 近くの銭湯に車で行く、という話を聞いてあきれたのは30年ほど前のことだった。今はそれが当たり前になっている。依存しているのは生活手段だけではない。日本経済が車産業に依存している。輸出額の22%、設備投資額は製造業界の20%を占めている 車を産業界の代表選手に育てた日本も、歴史的には「車未発達」社会だった。西洋では数千年前に戦車が登場し、馬車も生まれた。日本には平安時代の牛車や江戸期の荷車・大八車がある程度だ 国土の狭さと山川湿地帯の広がりが車の発達を妨げた。代わって神輿(みこし)や駕籠(かご)が活躍した。現代の政治に「みこしを担ぐ」の言葉が残っているのも、こうした車未発達の歴史と無縁ではなかろう。「自動車不況」などと厳しい言葉が登場したのも代表選手への期待ゆえである 生産調整にもなった長い正月休みが明けた。日本企業の技術力は高く、経営の足腰も強い。自信を取り戻し再挑戦の年にしたい。
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