白浜町消防本部が昨年6〜10月の5カ月間、チラシの配布や講習会などを通じて、救急車の適正利用について、住民に協力を求める啓発活動を強化したところ、前年同期と比べて出動件数が約1割減り、効果が表れた。中田真人消防長は「救急車が本当に必要な人のために活用できるよう、これからも啓発を続けていく」と話している。 総務省の消防白書によると、救急車が通報から現場に到着する時間が、2007年の全国平均では前年より0・4分長い7・0分になった。救急車の出動件数が、高齢化などで大幅に増えたのが主な要因とみられている。 このため、緊急性が低い場合の救急車の利用を控えるよう、協力を求める取り組みが全国で始まっている。白浜町消防本部でも昨年6月から具体的な取り組みを始めた。 全国統一のポスターを公共施設などに掲示したほか、独自にチラシを作って学校や宿泊施設、物品販売所などを通じて大量に配布。救急講習会以外の会合にも署員が出向き、チラシを配ったり正しい利用法を説明したりした。 この結果、6〜10月の救急出動件数は07年同期の849件に対し769件と、80件減少。理由別では交通事故が22件増えた半面、急病が90件減った。 中田消防長は「5カ月間の取り組みでは、正確な効果のほどを推し量るには難しい部分がある。救急システムを効率よく維持・運営するためにこれからも協力を求めていく」と話す。 町消防本部によると、管内の救急車出動件数は1997年の1352件(合併前の日置川町・すさみ町による大辺路消防組合分を合算)に対し2007年が1951件で、この10年間に44%増えている。 救急車は白浜消防署に2台、日置川とすさみの各消防署に1台ずつある。白浜消防署の2台が出動中に通報があった場合、日置川消防署から出動するが、その分、到着時間が長くなる。 ただ、白浜消防署だけの平均到着時間は07年が6・5分で、10年前より0・4分早くなった。同本部では、道路整備が進んだのが主な要因とみている。救急車にシール 白浜町消防本部は「救急車の適正利用にご協力を」と書いた本部独自のシールを作り、このほど管内の救急車4台すべてに張り付けた。 中田真人消防長は「適正利用の推進は、いろんな面で住民の利益となって戻ってくる」と話している。 同消防本部によると、独自のシールを車体に張って呼び掛ける取り組みは、県内ではないという。