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女性&出産・子育て 都心で子育て。地域住民が“縁結び” 東京都港区日本を代表する大企業や外資系企業、さらに70か国・地域もの大使館がオフィスを構える東京都港区。古くからビジネスエリアとして知られるが、ここ最近は、都心の生活圏として注目されている。そのため、暮らしに伴うさまざまなサービスも充実している。なかでも、病気の時や病後の乳幼児を一定期間保育する施設が多く、公立・私立の保育園のほとんどが夜間延長保育をしている。こうした生活環境に、区民からは「港区は子育てがしやすいところ」という声が聞こえてくる。 港区が積極的に取り組む「育児サポート子むすび」について取材した。 “頼れる人”がそばにいる安心感朝8時過ぎ―。保育園への送迎をするため、協力会員のYさんが利用会員のTさんのマンションにやってくる。すぐに、保育園に通うKくん(3歳)が元気に玄関の外に飛び出してきた。 「行ってきまーす」。保育園までの所要時間は約30分。Kくんが1歳になる前から送迎をしてきたというだけあって、2人の息はぴったり。バギーに乗ったり、手をつないで歩いたりしながら、毎日楽しく同じ道を通ってきた。この日も歩きながら、道に落ちているどんぐりや落ち葉を拾ってみたり、途中にあるピカチュウの看板を見たりしながら、保育園まで無事に送り届けた。 Yさんが「子むすび」を知ったのは、たまたまチラシを見たことがきっかけ。 「ちょうど自分の子どもが中学になるときで、自分の時間ができたので何かしようと思っていたときに知りました。毎朝、Kくんを送ることで一日の生活に張りができ、とても楽しいです。自分の思春期の息子と真正面から向き合って煮詰まることもあるのですが、そんなときに愛らしいKくんと接すると気分転換になりますね」と語る。 Kくんのお母さんである利用会員のTさんは大手企業の社員で夫婦共働き。出産後、仕事復帰する際に港区のホームページを見て「子むすび」の存在を知った。 「勤め先にできるだけ近く、ということで他区から港区に引っ越してきたのですが、こんなサービスがあることは、出産するまで知りませんでした。復帰第一日目からYさんにお願いしたのですが、子どもはすんなりと溶け込んでくれました。最初は何よりも時間など物理的な面で助かっていたのですが、それだけでなく、今では精神的な支えにもなっています。育児について相談ができ、いざというときに頼れる人がそばにいるということがどんなに心強いものか、ひしひしと感じました。そして何よりもYさんが子どもに愛情を注いでくださるということが私たち夫婦にとってありがたい。息子にとっても、母親以外に甘えられる第2の存在があるということは幸せなことだと思います」 Tさんは現在、2人目の子どもを出産し再び育休生活を送っている一方、母親の介護などで多忙な生活を送っている。それだけに、毎朝の送りは大きな手助けになっている。 「『子むすび』は昔のご近所付き合いのような温かい関係が築けることが最大の特徴であり、よいところです。育児サポートという関係だけに終わらず、こうしたつながりから地域のネットワークができることが区民にとっても住みやすさ、快適さにつながる。とてもよいことだと思います」とTさんは話す。 子育てを応援する相互支援活動港区の「育児サポート子むすび」(以下、子むすび)は、厚生労働省と東京都の補助事業として港区から港区社会福祉協議会が受託し、平成13年から始まった。子育ての支援を受けたい人(利用会員)と、子育ての支援をしたい人(協力会員)がともに「子むすび」の会員となり、地域の中でお互いに助け合いながら子育てをする会員制の相互支援活動だ。 利用会員は、港区に在住または在勤で育児サポートを必要とし、0歳児から小学校6年生までの子どもを持つ人。協力会員は18歳以上で、港区内で育児援助活動をしたいという人で構成される。両者とも事前登録制だが年会費などは無料。港区社会福祉協議会の事務局と地域のサブ・リーダーが利用会員と協力会員のコーディネートを行い、事前に打ち合わせをしてから活動を開始する。 協力会員は、1回2時間程度の短時間サポートを原則とし、協力会員宅や公園などでの保育、保育施設の送迎なども行なう。サポート料として、利用会員は1時間あたり800円を協力会員に支払うという仕組み。 港区社会福祉協議会・在宅サービス課の橋本公志課長は、「ホームページや広報紙などを通じて『子むすび』を広くPRしてきました。港区はここ数年、芝浦地区などの再開発によって大規模マンションが増えたことなどにより、人口が増加しています。利用会員数は、平成15年度の706人から4年後の平成19年度には1017人になり、活動件数も年々増えています」と話す。ちなみに、19年度、特に多かった活動は、「保育施設の送りと迎え」、「保護者の外出の援助」だという。 子育てを応援するサービスが続々「全国にファミリーサポート事業はありますが、『子むすび』の場合は地域の中にサブ・リーダーがいるのが特徴です。月に2回、サブ・リーダー会議を開き、地区の活動状況を確認したり、問題点がないかを話し合っています。私たちとしては、事務局だけでなく、間にサブ・リーダーを入れることでコミュニケーションをよくし、利用会員と協力会員のコーディネートがうまくいくように、きめ細かいサービスを心がけています」(前出、橋本課長)。 このほか、港区ポータルサイト内の「みなと子育てネット」(http://www.city.minato.tokyo.jp/kosodate/)では、児童館や乳幼児一時預かり事業(みなとほっとルーム)の紹介など、さまざまな子育て支援サービスの情報をインターネット上で簡単に検索できるようにしている。 また、2008年10月には芝5丁目(旧芝児童館)に、子育てひろば「みなと子育て応援プラザPokke(ぽっけ)」を開設した。この施設は、0~3歳の乳幼児と保護者を中心に、親子が楽しく遊びながら親同士の交流や情報交換ができる「子育てひろば」、0~6歳までの子どもを対象に保護者が病気になったときや育児のリフレッシュなど家庭の事情にあわせて子どもを預かる「一時預かり」、0~12歳までの子どもを対象に保護者が残業などで夜間に育児ができないときに午後5時から午後10時まで子どもを預かる「トワイライトステイ」、0~12歳までの子どもを対象に保護者が仕事や入院などで育児ができないときに最大6泊7日まで子どもを預かる「ショートステイ」の4つを事業の柱として実施している。 高層ビルの間にも着実に広がりつつある地域の子育ての輪。 「『子むすび』をますます充実させていき、より子育てがしやすい街になっていけばよいですね」と話す橋本さんの楽しそうな笑顔が印象的だった。 (フリージャーナリスト 中島 恵) <取材メモ>
(2009年1月6日 読売新聞)
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