【社会】ホームレス殺到、パンク 名古屋市の一時保護施設2009年1月6日 夕刊 名古屋市で、住まいのない人たちを一時的に受け入れる施設が5日、入所を希望するホームレスらで満杯になり、市は一晩限りの緊急措置として、カプセルホテルの部屋を借り、13人を収容した。このような措置は初めてという。 市によると、名古屋駅近くの西柳公園でテントを張るなどして、年末年始を過ごしたホームレスらが仕事始めの5日、中村区役所の福祉窓口に殺到。相談に訪れたのは、同日だけで88人に達した。 住まいのない人の一時保護所(熱田区、定員50人)はすでにいっぱいで、市が日ごろから借り上げている民間の簡易宿泊所(中村区)も、25人を収容してパンク状態に。50人程度はあきらめて帰ったが、残る13人に、市は特例として費用を負担して、カプセルホテルに宿泊させた。 中村区役所には6日朝から、再び100人近くが詰め掛けており、「今後の対応は未定」という。周辺の自治体から集まった人も多いとみられ、市保護課は「人数がこれだけ膨れ上がると、一自治体として対応できる限界を超えており、非常に苦しい」と話す。 一時保護所は、自立する能力や意欲のある路上生活者を受け入れる。それとは別に、健康不安などで自立の難しい人を収容する名城シェルター(中区、定員200人)にも約30人の入所予定者がおり、空きはないという。 ◆「素早く対応を」憤る申し込み男性名古屋市中村区役所には6日朝から、寝る場所や仕事などを求める人たちが殺到した。正午現在で97人に上った。 民生子ども課の伊藤正博課長(59)は「落ち着いていた昨年と大違い。職員総出で対応している」と話す。「従来は50代以上が多かったが、今は若い人の姿も目立つ。派遣切りの影響だろうか」と推し量った。 簡易宿泊所の申し込みに来た男性(35)は「対応が後手後手。東京のように素早く対応できないのか」と憤る。派遣労働者として県内の工場に勤務していたが、昨年12月27日に職と家を失った。「まさか自分が役所の世話になるとは」と肩を落とした。 ホームレスなどを支援する笹島診療所(名古屋市)メンバーの藤井克彦さん(66)は「新年から相談者が非常に増えた。安易に施設に入れるのではなく、アパートなど居宅を提供し、自立させなければ滞留するだけだ」と指摘した。
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