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女子学生見守る防犯カメラ/横浜
- 暮らし・話題
- 2009/01/06
女子高校生を狙った痴漢などが相次いだことを受け、横浜市中区山手町の、私立横浜山手女子中学校・高等学校脇の公道に防犯カメラが設置されている。県警によると、生徒の安全のため公道にカメラが設置されるのは県内で初めて。周辺住民のプライバシー保護などの課題を抱えながらの試みで、今後の成果が注目される。
山手署によると、JR石川町駅から同校への通学路で昨年六~七月、生徒らを狙った盗撮や痴漢などが約十件続いた。周辺には女子校が多く、同八月に女子生徒を盗撮したとして逮捕された男(47)は「盗撮しやすい場所としてマニアには有名」と供述したという。
被害防止のため、学校側は教員の巡回強化などの対策を講じたが、「長時間、警備に立つのは難しい」と防犯カメラの設置案が浮上。学校は県警と相談の上、公道管理者の横浜市中土木事務所に設置を申請した。
横浜市は防犯カメラの設置についてガイドラインを定めており、学校側はそれに沿った運用ルールを策定。(1)画像は校長ら指定者が管理する同校ハードディスクに保存(2)犯罪捜査などの必要性がなければ画像を提供しない(3)設置への町内会の承諾(4)通学路沿いの住宅を映さないために角度を調整する―などの配慮を重ね、同十一月下旬に五台を設置した。
周辺住民の多くは「カメラの設置は知らなかった」と話すが、受け止め方はおおむね好意的。通学路沿いに住む女性(72)は「娘が危ない目にあったこともある。カメラがあれば安心」。自宅の方向にレンズが向いている会社員女性(38)も「防犯カメラは気にならない」と話す。
逆に、生徒からは「安心だけど、撮られているのはちょっと嫌な気持ち」(高一)との声も。伊藤公孝校長は「カメラに頼るだけではなく、学校関係者も見回って注意していきたい」としている。
地域防犯に詳しい立正大学文学部の小宮信夫教授は「個人宅などを写さず、画像管理を徹底すれば問題ないというのが(カメラの設置が進んでいる)欧米では常識的」と説明。一方、プライバシー問題に詳しい白鴎大学法学部の石村耕治教授は「近年は安全を重視する住民が多く、設置自体を否定することは難しい」とした上で、「周辺住民への周知や、写った人への画像開示など、住民が逆にカメラを監視する仕組みが必要」と指摘する。
両教授とも「カメラがあれば犯罪が無くなるわけではない」とも。女子生徒の一人は「本当は人に見守っていて欲しい」と話していた。
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