年が改まり、何かと「初」がつきものだ。初日の出を拝み初詣でをして、良き一年を願った人も多いだろう。事を始めるのも、書き初めに初荷、初売り、初釜からだ。
一年間の終わりを区切りととらえ、「今年こそは」と新しい年にかける。このように新年を「仕切り直し」と考える日本人の風習は、新年を一つの「通過点」でしかないとする欧米人には不思議がられるという(「あなたの人生の残り時間は?」織田一朗著)。
やはり新年は日本人には特別なようだ。年が変わっただけなのに「めづらしき心ちぞする」とは徒然草の吉田兼好の言葉だが、確かに町の風景が違って見えるから不思議だ。年の瀬が慌ただしかっただけに、三が日の静けさが際立つのかもしれない。
厳粛な空気がみなぎり、すがすがしさを感じる。新年を迎えられた喜びとともに、希望や期待が自然と心からわいてくるような気がする。
ただ、近年は二十四時間営業のコンビニが増え、元日から営業しているスーパーも多くなった。正月ならではの非日常性が、だんだんと薄れていくようだ。
きょうから仕事始め。新たな日常が本格的にスタートする。急速な景気の悪化などで重苦しい雰囲気をひきずったままの年明けだが、ここは仕切り直しをして、前に踏み出したい。