「神戸へ電車で行くには、乗り換えが面倒」という声をよく聞く。同僚も大阪や京都へ取材や遊びで行くことがある。神戸は実際の距離以上に遠く感じる。近鉄奈良駅からJR三ノ宮駅まで現状では最速のルートで、歩数や所要時間を測りながら、電車の乗り換えを体感してみた。【宮間俊樹】
私は近鉄奈良駅を出発。鶴橋駅でJR大阪環状線に乗り換え、JR大阪駅に出て、東海道線の新快速で三ノ宮駅へ行った。運賃は1100円で所要時間は約80分。大阪の梅田駅から阪神か阪急を使えば運賃は960円で済むが、約90分かかる。いずれのルートでも乗り換えは少なくとも2回必要だ。
万歩計を着けて近鉄奈良駅をスタート。改札からホームまで118歩。近鉄難波行き快速急行に乗った。暖かい日差しにうとうとしてしまった。約30分後、居眠りもそこそこにJR大阪環状線に乗り換えるため、鶴橋駅で下車した。
近鉄全駅で最多の乗降客数(約19万人)を誇る鶴橋駅。昼間の比較的すいた時間でも、エスカレーターの前には列ができていた。ラッシュ時の混雑は相当なものだろう。私は階段を35段上がり、大阪環状線のホームへ。鶴橋駅での乗り換えで370歩。
大阪環状線は3~5分間隔で電車が来る。約15分でJR大阪駅に到着すると、乗客は一斉にホームへ。電車待ちをしている人々と重なり、ホームは混雑する。案内看板をゆっくり見る余裕もなく、ホーム中央の37段の階段を下った。174歩で播州赤穂行きの新快速が待つホームに到着した。混雑時にはホームは狭く感じた。
ちょうど20分でJR三ノ宮駅に到着。奈良から662歩、手元の時計で79分だった。
人の流れがゆっくりした奈良に住む者としては、乗り換え時の混雑で疲れた。「車で行こうかな」とも思った。3月20日の阪神なんば線開業で、近鉄奈良駅と阪神三宮駅は直通で結ばれ、約80分で行き来できるようになる。所要時間は大きく変わらないが、乗り換えの煩わしさは解消される。買い物をする場所を大阪のキタから、神戸へ切り替える人が出てくる気がした。
毎日新聞 2009年1月3日 地方版