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更新:6月30日 10:45インターネット:最新ニュース

2chから生まれた「ブラック会社」出版秘話・新潮社郡司さんに聞く

 ネット掲示板の「2ちゃんねる」で人気を集めたスレッド「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」が27日、そのままのタイトルで新潮社から出版された。ニート脱出を誓った筆者が、ネットの仲間に支えられて辞めようと思っていたIT企業でまだ頑張ろうと決意するまでのストーリー。「電車男」の書籍化も手がけた文芸第二編集部の郡司裕子編集長に出版の経緯などを聞いた。

■ネットで自分の居場所見つける

 筆者は高校でいじめにあい中退。自宅でひきこもり、就職もしない、いわゆる「ニート」時代が続いたが、母親の死を機に一念発起、IT企業に就職する。しかしそこは無理な納期の開発を押し付けるクライアント企業と、無責任な上司、使えない同僚が待ち受ける「ブラック会社」だった――。

 働き続けても収入が上がらないワーキング・プアの問題が叫ばれ、小林多喜二の「蟹工船」がベストセラーになるこの時代だけに、筆者が自らの体験を生々しく書き込んだ2ちゃんねるのスレッドは、同世代の若者の共感を集めた。「俺も残業代ゼロ」「早く続きを書いて」などの声援を得て、筆者は絶望の底から這い上がる。

 「最近はネットでも居場所を見つけられずに引きこもったり大事件を起こしたりということも起きています。でもこの物語は、ネットで仲間に助けられ、なんとか外の世界で自分の居場所を見つけていく。筆者は、最初は単に仕事の愚痴を書き込んでいたという部分もあったようですが、書くことで自分の心を整理し、仲間とのやりとりで状況を俯瞰できたのかもしれません」と郡司さんはいう。

■筆者探しにひろゆきが呼びかけ

 郡司さんは出版のきっかけについて「ちょうど産休でずっと家にいて、時間があったんです。ネットサーフィンしていたらたまたま、どこかのブログでこのスレッドを見つけました。読んでみて面白いと思い、これは行ける!と企画を出しました」と振り返る。

 しかし、出版の企画が通ったのはよいが、スレ主であるマ男さんの連絡先がわからない。郡司さんは電車男のとき、本人を探し出そうとして一度失敗している。

 郡司さんは電車男の「まとめサイト」の掲示板上で「新潮社の者ですが、出版したいので連絡をください」と自ら書き込んで、「場違いな発言」「釣りに決まっている」などと批判された。2ちゃんねる管理人の西村博之(ひろゆき)氏がまとめサイトの管理人に連絡を取り、ようやく電車男を探し出すことができた。

 今回はその反省もふまえ、最初からまとめサイト「ハム速」の管理人に連絡を試みた。ところが返事がもらえず、ふたたびひろゆき氏に依頼。2ちゃんねるでひろゆき氏から本人に名乗り出るよう呼びかけてもらい、コンタクトに成功したという。

 ところが「ブラック会社」にはほかの出版社もすばやく目をつけていたようで、マ男さんに連絡をした2月時点では「出版の依頼は7社目です」と言われた。郡司さんは電車男の経験をもとに懸命にプレゼン。みごと出版の権利を勝ち取った。

■マ男さんは「いい青年」

 打ち合わせのため、郡司さんはマ男さんと3月ごろに一度会っている。印象は「いい青年という感じ」。歳は「30くらいに見えた」という。東京に来るのは初めてというような様子で、スレッドでは「彼女なし」と書いているが、話しぶりなどが「かわいらしかった」そうだ。

 マ男さんによると、ブラック会社のスレッドが面白いとヤフーで紹介されたことがきっかけで、読者が一気に増えたという。2ちゃんねるはスレッドごとに1000件まで書けるが、コメントが多すぎて1つのスレッドで本人が2件しか書けないこともあったそうだ。郡司さんも「コメントの反応を見てだんだん自分自身を盛り上げていったようで、どんどん書くのが上手になっています」と編集者の視点で評価する。

 一方で、有名になれば「これはうちの会社のことじゃないか?」と会社の人にばれてしまわないかどうかが気になるが、気づかれてはいなかったとのこと。

 「周囲の人にわからないように、ストーリーは実際とは少しずつ変えているようです。社員の数を変えてみたり、2人の人格を1人に合わせてみたり」

 ちなみに電車男も、いまだに親にも本人だと気づかれていないという。

次ページ:■印税は「しかるべき人に払う」

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