日比谷公園では、ボランティアたちが朝から派遣村の撤収作業に追われていた=5日午前8時56分、東京都千代田区、細川卓撮影
「派遣切り」などで仕事と住まいを失った人たちに、昨年末から寝場所と食事を提供してきた「年越し派遣村」が5日午前、撤収を始めた。5日朝までに入村登録をした人は499人。多くは5日以降も東京都内の公共施設4カ所へ移り、職探しや生活保護の申請をしながら生活再建を目指す。
5日朝、東京・霞が関の厚生労働省講堂では「派遣村」を閉じる集会があり、「村民」約340人が参加した。講堂は、実行委の要請で同省が2日夜に開放。約250人が3日間にわたって寝泊まりし、雇用危機の深刻さを象徴する場所となってきた。
村長の湯浅誠・NPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長は「今日から皆さんの本格的な生活再建が始動します。生活保護申請、アパート探し、職探し、それぞれ大変です。国も窓口を作ってくれますが、我々もバックアップしていきます」とあいさつ。関根秀一郎・派遣ユニオン書記長は「500人だけの問題ではありません。職、住まいをなくし、路頭に迷っている人はたくさんいます。派遣村のような受け皿がもっと必要だ」と話した。
開村からの6日間で、約230人の村民が生活保護をFAXで事前申請。うち約100人が集会終了後、東京都千代田区役所が設けた臨時窓口に移動して生活保護の手続きをする。一方、残った人たちはこの日通常国会が開会した国会周辺をデモ行進した後、議員会館で集会を開き、与野党に派遣切りへの対策を求める。
その後、多くは中央区の閉校になった小学校2カ所や練馬区にある都の体育館、大田区にある都の労働者向け一時宿泊施設に移り、新たな就労先の確保を目指す。