新年を複雑な思いで迎えた人たちもいます。去年、不況のあおりを受け、仕事を失った派遣社員たち。彼らが迎えた新年とは、どんなものだったのでしょうか。

　「３・２・１・カンパーイ」
　新年を迎えた東京の日比谷公園。仕事を失った派遣労働者を支援する「年越し派遣村」にはおよそ１００人の労働者が集まっていました。

　林貴行さん（３８）は、派遣社員として働いていた三菱ふそうを先月２６日に解雇されたばかりです。

　「（Ｑ．どんな年に？）新しくなったんだし、新年こそはいい年になりますように・・・」（三菱ふそう元派遣社員　林貴行さん）

　派遣先を解雇され仕事を失った労働者たち。彼らはどんな思いで新年を迎えたのでしょうか。

　大晦日の夜、林さんは川崎市内の寮にいました。およそ８畳のワンルーム。派遣元からは２月までの退去を求められています。

　「（Ｑ．年越しを迎える心境は？）正直まさかというのがありましたね。今度の契約が終わるまでは、普通にいってくれないかな、いってくれるだろうと思っていましたし」
　「（Ｑ．会社に対する怒りは？）人員削減で簡単に切り過ぎる気はしたし、何か残せる方法はなかったのかなという気もしますね」（三菱ふそう元派遣社員　林貴行さん）

　林さんは３１日深夜、一緒に解雇された元同僚等と新年を迎えるため、派遣村へと向かいました。

　「（Ｑ．心配なこととかある？）夜眠れないとかうなされたりとか、自分では意識してないけど、なくはないんですよ」（三菱ふそう元派遣社員　林貴行さん）

　「仕事と住まいを探し、今まで当たり前と思っていた生活を取り戻したい」、林さんはこんな思いを胸に２００９年を迎えました。

　神奈川県大和市のワンルームマンション。カップ麺のそばでひとり新年を迎えようとしている男性がいました。いすゞ自動車を先月２６日に解雇された佐藤良則さん（４９）です。

　「１人の食事はいつもなれていますからね、ただ今回は（家族のもとに）帰れなかったのはすごく残念で、寂しいといえば寂しいです」（先月２６日に解雇された佐藤良則さん）

　毎年正月は、札幌で暮らす妻と娘とともに過ごしてきた佐藤さん。しかし、今年は札幌に帰る旅費すらなくなってしまいました。

　「もしもし、ハッピーニューイヤー。今年もパパ一生懸命がんばるからね」（先月２６日に解雇された佐藤良則さん）
　小学５年の長女とは電話でのあいさつとなりました。
　「今、おそば食べていたの？おいしい？ママ作ってくれたの？」
　「寂しい思いさせてすまないですけど。今、ふん張ってがんばらないとどうしようもない」（先月２６日に解雇された佐藤良則さん）

　家族への仕送りはこの２年ほど途絶えたままです。佐藤さんは１日朝、元同僚と初日の出を見に行きました。

　「今年はいい年でありますように」（先月２６日に解雇された佐藤良則さん）

　今年３月までに仕事を失う非正規労働者は８万５千人にも及ぶといわれています。その多くが、再就職先を見つけることができないまま、不安を抱え新たな年を迎えました。（01日17:55）