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部活と学業:韓国の高校運動部、合宿所の実態とは

選手用教室の掲示板には時間割も何もなし

疎外された生活…「友達に会っても話すことがない」

絵=パク・サンフン記者
 ある高校サッカー部員たちが授業を受ける教室を取材させてもらった。一般の生徒たちの教室とは別だった。教室の中は「これが高校の教室か」と思わせるほど寒々としていた。黒板や机を見ると、長い間使用していないことが一目で分かった。掲示板には授業の時間割も連絡事項もない。サッカー部員はグラウンドと合宿所を行き来するだけの生活をしているからだ。

 選手たちの練習時間は1日4時間ほど。午前9時30分から2時間、午後は2時30分から2時間だ。時間さえうまく調整すれば、いくらでも授業に出席できるはずだ。しかし学校も生徒も父兄も、誰も授業には神経を使っていなかった。

 選手たちは「練習のため授業は抜けて当然」と考えているようだった。サッカーを始めたときから身についている誤った習慣だ。大会期間には試合をしなければならないため授業を抜け、大会が近づくと準備(練習)のために授業を抜けるということだ。

 平日午後2時から近くの学校のチームと練習試合を行うなど、学校側も授業についてまったく配慮していない。午前と午後に練習がない日にも、勉強には関心がない。毎日の練習と試合への参加による疲労を癒すためには、ゆっくりと休んだ方が競技力向上のためにプラスになると考えているからだ。

 もちろん、サッカー部の部員も一般の生徒たちと同じように中間試験や期末試験を受ける。しかし普通に受けて競争できるわけがない。生徒たちは試験のことを「内申の底上げ」と呼ぶ。選手たちが一般生徒の内申成績を引き上げているという意味だ。成績を気にする選手もいなかった。ある部員(18)は「テストの結果について先生や親から何か言われたことはない。ただ受ければいいだけだ」と語った。

 彼らが疎外されているのは学校の勉強だけではない。全国各地から集まった選手たちは3カ月に1回は自宅に戻る。しかしほとんどの時間を部員と共に単調な生活を過ごしているため、久しぶりに家に帰っても特に話すこともない。別のある部員(18)は「一般の生徒たちはスポーツ選手は頭がよくないという偏見を持っている。久しぶりに地元の友人に会っても気まずいだけだ」と語る。彼は「サッカーで成功できなければ何もできない人間になるのでは」と考えると恐ろしくなるという。

 サッカー部の合宿所では、来年同校に進学予定の中学3年生10数人がやって来て、「高校の合宿所体験」に参加していた。その中の一人は「ここに来れば授業に出なくてもいいし、先輩たちと毎日サッカーだけして、後は遊んでいればいいから面白そうだ」と笑っていた。

チョン・セヨン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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