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部活と学業:勉強禁止!? 練習漬けの子供たち

「試合に負けると大学に行けない。今年の授業日数は2週間」

小学校の時から本とは縁のない生活、ただひたすら練習

練習に没頭するある高校サッカー部の選手たち。彼らが今年3月から11月までの間に学校の授業に参加した日数はわずか2週間程度。2年生10人の中で担任教師の名前を知っていたのはわずか二人だった。/写真=イ・ミョンウォン記者

 今月2日午前11時、ある高校サッカー部のグラウンド。40人の選手たちが他校のチームを相手に週末リーグの試合を行っていた。このリーグは運動部に所属する生徒の勉学を考慮して週末に行われていた。選手たちは学校近くの旅館などで生活しながら試合に臨む。彼らの生活の実態はどのようなものなのだろうか。彼らの合宿所を訪ね、2泊3日間生活を共にしながらその様子を取材した。

 高校生の選手たちは、合宿所では勉強を除き一般の若者たちとさほど変わらない生活を送っていた。選手たちのほとんどは「今年3月に新学期が始まってから、授業に参加したのは全部で2週間ほど」と口をそろえる。午前と午後の2時間ずつ行われる練習を除けば、彼らは完全に自由の身だった。軍隊の内務班のような大きな部屋でテレビを見たり、売店などで時間をつぶす。携帯用ゲーム機に没頭する生徒も何人かみられた。一部は部屋に集まって花札に興じている。その横で昼寝をしていた生徒(18)に話を聞くと、「小学校を卒業してから、いつまともに鉛筆を持ったのか、覚えてもいない」と語る。

 サッカー部に所属する生徒たちは、学内ではまさに異邦人だ。一般の生徒たちとは教室も昼食時間も異なる。この学校の2年生サッカー部員10人に担任教師の名前を聞いてみた。するとほとんどが「誰だったっけ?」「○○先生じゃなかったか」「おれは夏に転校してきてから教室の前に行ったこともない」などと口々に語った。担任教師の名前を正確に覚えていたのはわずか二人だった。

 学校の運動部の合宿所でこのような情景を目にするのはそれほどめずらしいことではない。選手たちはもちろん、監督責任のある学校当局も彼らの勉学にはさほど神経を使わない。運動部員は生徒である前に選手であり、生徒としての基本的な義務である勉学は完全に後回しだ。1カ月に40万ウォン(約2万9000円)ほどの部費を支払っているというある母親は、「ほかの学校の選手たちは皆練習ばかりしている。うちの子だけが勉強して(試合で大学に行けるだけの成績が出ず結果的に)、大学に行けなくなったらどうするのか」と語る。

 一方、選手たちも悩みを抱えていた。今年初めに1380人いた高校3年生のサッカー選手のうち647人が大学に進学し、わずか30人だけがプロや実業団チームへと進んだ。大学のサッカー選手287人の中で、プロや実業団に入れたのは160人だ。残りは一般の学生たちと競争しなければならない。話を聞いたある高校の生徒(17)は、「将来どうなるか分からないため、今からでも勉強したいという思いはある。しかし小学校の時から何もしてこなかったので、今はどうしようもない。練習に専念するしかない」と不安な心境を語った。

 韓国は2008年の北京五輪で金メダル13個を獲得し、総合7位となった。02年の韓日ワールドカップでは4強にまで進出したスポーツ強国だ。しかし選手たちを育成する環境はあまりにも劣悪だ。

 学校外で個人的にトレーニングを行うしかない非人気種目のあるジュニア代表選手は、「今年学校に行ったのは全部で2週間ほど。特に英語を勉強したいと思っているが、厳しい練習が終わってから本を読む気力はない」と語った。高校3年生でバドミントンのユース代表となったある選手は学校に登校はするものの、勉強には到底望めない。彼は「練習が終わって家に帰ると夜9時だ。疲れて何をする気力も出てこない。学校でも午前中は寝てばかりだ」と現在の生活パターンを話してくれた。それでも大会が近づくと、1カ月前から午前中の授業にも出ないで練習だけに専念するという。

チョン・セヨン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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