今年の山陽新聞賞に九人三団体が選ばれた。長年にわたる地域社会への貢献が光る。
文化功労は四人。備前焼作家の柴岡紘一氏は明るい焼け色の器で備前焼の魅力を広げる。小原流岡山支部参与の末利淳子さん(号・翠圃)は華道一筋に打ち込み、花と一緒に心も生けてきた。
版画家の高原洋一氏はシルクスクリーンによる詩的な作品群で高い評価を得る。バイオリニストの福崎至佐子さんは郷里・高松で音楽の振興に力を注ぐ。
社会功労の慈圭会理事長の藤田英彦氏は精神科治療の向上に献身した開拓者である。教育功労の加計学園理事長の加計晃太郎氏は大学運営のかじ取り役を精力的に担ってきた。
学術功労は二人。岡山大大学院教授の本水昌二氏は超微量(マイクロ・ナノ)分析化学の第一人者。川崎医科大形成外科学教授の森口〓彦氏は形成外科の診療・教育などに功績を残した。産業功労の両備ホールディングス会長の松田堯氏は時代を見据えた事業の多角化で両備グループを育てた。
山陽新聞奨励賞には、民芸運動を推進してきた財団法人倉敷民藝館、福山市に伝わる伝統芸能を継承する蔵王はね踊り保存会、岡山の魅力発信に成果を挙げたトーナメント地域活性委員会の三団体。たゆまぬ努力と研鑽(さん)が実を結んだ受賞者・団体に拍手を送りたい。
(注)〓は隆の「生」の上に「一」