MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

【主張】中国08憲章 政治改革は避けられない

2008.12.31 02:42
このニュースのトピックス主張

 来年は新中国建国60周年、天安門事件20周年に当たる。この時期を見計らい中国内外の民主派勢力が今月10日、共産党独裁体制の終結を求める声明(「08憲章」)をインターネットを通じて発表した。中心人物の劉暁波氏(作家)は当局に身柄を拘束されたが、国際社会では憲章支持や劉氏釈放を求める署名運動が広がっている。胡錦濤政権は内外の声を謙虚に受け止め、懸案の政治改革に着手すべきである。

 憲章作成に参加した余傑氏(作家)によると、「民主化運動を弾圧した天安門事件以後、政治的進歩がないため、1年以上前から草案の作成を始めた」「最初の署名者303人は逮捕覚悟の行動だった」という。

 悲壮な決意だが、その内容は21世紀の国際社会において大多数の人々が納得する主張といえる。自由、人権、平等、民主の普遍的理念に基づき(1)憲法改正(2)三権分立(3)司法の独立(4)公職選挙(5)(文民統治を徹底する)軍隊の国家化(6)私有財産保護(7)自由民主の原則のもとに台湾や諸民族が参加する中華連邦共和国の建国−など、19の主張を盛り込んでいる。

 憲章公開から2週間余りの間に内外の中国人6000人以上の署名を集め、なお増え続けている。米政府など劉暁波氏の釈放を求める動きも強まっている。しかし当局はかたくなに拒み、憲章をめぐる国内報道やネット論壇への規制を強化している。

 胡錦濤政権は5年前の発足当初、政治改革に積極的な姿勢を打ち出して内外の期待を高めた。ところがその後は後退するばかりだ。改革・開放30周年を記念する18日の胡錦濤国家主席の演説は中国が「人民民主独裁の社会主義国家」であることを強調、「安定がなければ獲得した成果も失う」などと保守的な姿勢が目立った。

 中国経済が急速に悪化し、民衆の抗議活動や暴動が急増し始めたことへの危機感もあるだろう。しかし真の安定を確立するには、もはや政治改革を避けては通れないところに来ている。

 一部の特権層が不当な手段で富を独占し、極端な格差を生んだことが内需主導の成長を妨げている。幹部の腐敗、専横を告発するメディアの自由もない。民衆の不満は鬱積(うっせき)している。真の民主化に向けた政治改革の具体的な段取りを示さない限り、天安門事件の再来もありえないことではない。

PR
PR

PR

イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。