全国に展開する大手家電量販店と、メーカー系列の地域電器店では、仕入れの段階でどれほど価格差があるのか。地域店関係者から「我々の仕入れ価格より、量販店の店頭価格が安い」といった通報が約2千件も寄せられた公正取引委員会が実態調査をし、結果を公表した。
同じ商品を販売する際、特定の取引相手だけに安く販売することは「差別対価」にあたり、独占禁止法違反となる。地域店からの通報の多くは、「メーカーは大手量販店には安く出荷しており、差別対価だ」という内容だった。
公取委が調査対象として選んだ商品は、(1)液晶・プラズマなどのテレビ(2)洗濯機(3)冷蔵庫。具体的な通報のうち8割は3商品が占めていた。
公取委は全国展開している大手量販店4社と、パナソニックなど大手メーカー3社の系列地域電器店について、3商品の価格を比較。メーカーから店に支払われる販売促進費などを考慮した、実質的な仕入れ価格で比べた。
結果は、大手量販店向け商品の価格を100とした場合、最安値をつけた地域店の平均価格は103.1。価格差が小さかった冷蔵庫の場合、地域店の最安値は102.4。冷蔵庫を大手量販店が10万円で仕入れたとすると、最安値の地域店は同じ冷蔵庫を10万2400円で、最高値の地域店は11万9500円で仕入れていたことになる。
家電の取引は、商品を大量に注文すれば、リベートや販売促進費が多くなる仕組みのため、公取委はこれらの価格差は、取引量の差を反映しているだけと判断。また、機種や時期によっては量販店よりも地域店向けの方が安い場合もあり、差別対価に当たらないと結論づけた。
公取委は「メーカーは、地元のお年寄りなどの顧客対応の『受け皿』となっている地域店の役割を重視している。取引量が少ない割には価格を低く抑えるなど、配慮を見せていた」と指摘している。