パレスチナ自治区ガザへの侵攻に向け、4日、境界付近で配置につくイスラエル軍兵士と戦車=AP
【スデロト(イスラエル南部)=井上道夫】イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ侵攻から一夜明けた4日早朝、ガザ北部の境界線まで約3キロの地点まで近づいた。正面に見えるガザの建物から黒い煙が、もくもくとあがる。イスラエル側から次々に砲弾が発射され、大音響とともに爆発。銃撃音も絶え間なく響き、火花が飛び散るのが見えた。
上空には戦闘用ヘリコプターや無人偵察機が飛び交い、空から地上部隊を支援。地上では軍用車両が行き交い、重武装の兵士が無線で連絡を取り合っている。ガザに向かう道路では警官や兵士が一般車両の通行を止めていた。
地上戦が始まった3日夜には、境界線近くに集結したイスラエル兵が暗闇の中で円陣を組み、大きなかけ声とともに気合を入れた。これから前線に向かうという若い兵士は「市民は殺さない。自分も生きて帰ってくる」と自らに言い聞かせるように話した。
境界線まで約5キロのスデロト。4日午前8時過ぎ、空襲警報が鳴り響いた。軍関係者が大きな声で「シェルターに避難しろ」と指示。その1分後、住宅街にガザから撃ち込まれたロケット弾が着弾した。被弾した家屋からぼうぜんとした表情で出てきた年老いた女性は「どうして、どうしてこんなことになるの」と涙声で何度も叫んでいた。4日午前中にガザからイスラエルに撃ち込まれた砲弾の数は、計13発にのぼった。
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ガザからの報道によると、地上戦はガザ北部で激化しており、多くの住民が避難を始めている。イスラエル軍は4日、ガザ市の南約3キロにあるネツァリムを拠点に攻撃。細長いガザ地区をネツァリムで分断する形だ。北部にあるハマスのロケット弾攻撃の拠点を封じ込める狙いとみられる。