【ニューヨーク=松下佳世】イスラエル軍のガザ侵攻を受けて国連安全保障理事会は3日、緊急の非公開会合を開いた。話し合いは深夜まで約4時間。議長国・フランスのリペール国連大使は、疲れた様子で「幅広く議論したが、公式な合意に至れなかった」と記者団に語った。
アラブ諸国を代表して、安保理会合を要請した非常任理事国のリビアはこの日、イスラエルの地上侵攻開始に「深刻な懸念」を表明し、即時停戦を求める議長声明案を全理事国に示した。今月から安保理入りした日本を含むほとんどの国が大筋で賛同したが、親イスラエルの米国が「イスラエルの自衛権は認められるべきだ」として反発。結局リペール大使が議長として停戦を求める談話を出しただけで、国際社会の一致した態度を示せなかった。
イスラエル軍の空爆開始後、安保理の緊急会合は3度目だが、これまでに出せたのは「すべての暴力の即時停止」を求める非公式の報道声明のみ。31日の会合でリビアが提示した、イスラエルの攻撃を「強く非難」し、即時停戦を求める決議案も、米国の反対で宙に浮いたままだ。
動けぬ安保理に、国際社会の不満は高まっている。
フランスのクシュネル外相は3日、「イスラエルの地上攻撃を(ハマスによるイスラエルへの)ロケット弾攻撃と同様に非難する」との声明を発表。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長も「深い懸念」を表明し、オルメルト首相に地上侵攻を直ちにやめるよう求めたことを明らかにした。
サルコジ仏大統領が5日からイスラエルを訪れると発表するなど、欧州連合(EU)は調停の動きを活発化させている。アラブ連盟も近く、閣僚級の代表団を国連に派遣し引き続き停戦決議採択を目指す考えだが、情勢打開に向けた道筋は見えないままだ。