Jリーグで、秋に開幕し春に閉幕する「秋春制」の構想が持ち上がり、ヴァンフォーレ甲府(VF甲府)にとって頭の痛い問題となっている。拠点のないVF甲府には、厳冬期の練習場確保など課題が山積で、海野一幸社長は「無理だ」と、真っ向から反対の姿勢だ。【中村有花】
現在のJリーグは3月上旬に開幕し、12月下旬に終わる「春秋制」だが、日本サッカー協会の犬飼基昭会長が10年をめどに欧州で一般的な「秋春制」への変更を提唱し、検討が進められている。
VF甲府は現在、ホームゲームを小瀬スポーツ公園陸上競技場(甲府市)で開催。昭和町の押原公園を中心に、韮崎中央公園(韮崎市)や敷島総合公園(甲斐市)など約10カ所で練習をしている。ほとんどが天然芝のグラウンドで、屋内練習場は1カ所もない。
押原公園は12月1日から4月末ごろまで芝の養生のため、天然芝グラウンドは使用禁止。同公園管理事務所の望月一徳・指定管理担当は「冬に使うのなら、冬芝を植える必要がある。現状では無理」と話す。韮崎中央公園も同じ理由で春先まで使用制限がある。
また、練習ができても、山梨特有の冷たい強風「八ケ岳おろし」にさらされる中で、ボールコントロールが難しくなるなど、大きな影響が出そうだ。
小瀬陸上競技場は夏冬対応の芝のため利用は可能だが、冬芝は夏芝に比べて使用後の回復が遅れるため、グラウンドを良い状態に保つことが難しい。
海野社長は冬季の試合について「集客が大幅に落ちる可能性がある」と経営面でも厳しい見方を示す。
現場も困惑気味だ。安間貴義監督は「決まったことには従うが、無理があると思う。1~2月は練習場がないから、暖かいところ(静岡市、宮崎県西都市)でキャンプを張っているのに」と話している。
毎日新聞 2008年12月9日 地方版