先日、某自治体からの依頼で、数箇所の公民館において、「外国文化」という
テーマで約2時間ほど講演をした。これまで通訳として、大勢の人々の前で
話をしたことはあるが、自分自身が主役で講演をしたのは、もちろん生まれて
初めてである。
これまで私は、仕事やプライベートでたくさんの国を訪問するチャンスに
恵まれてきたが、もちろん、その中でいろんな珍しい文化や習慣を体験
して、戸惑ったり、笑ったり、腹が立ったこともある。それらを紹介しながら、
「自分たちと異なる文化や習慣を単純に否定するのではなく、逆に違いを
楽しむことが、海外旅行を充実したものにする極意の1つである」という
内容の講演した。
エピソードの1つとして講演の中で紹介したのが、私の住むNew Zealandの
話である。New Zealandの一般家庭の料理は、日本人の目から見ると、
非常に質素に見える。年間を通してメニューはほぼ同じで、平日はステーキ、
ポテト、グリーンピース、そして週末はFish&chipsだ。 しかし必ず家族全員が
テーブルに集まり、家族の1人1人が、笑顔で今日一日の自分のStoryを家族に
話しながら食べている。
一方、今の日本で、家族が揃って食事をしている家庭が、一体、どれくらい
あるだろうか? お父さんは会社で残業、子供は塾で勉強、その結果、
帰宅時間はバラバラとなり、たいていは1人で食事をすることになる。
そう考えると、単純に「NZよりも日本の方が食生活が豊かである」とは、
云えなくなってしまう。
食事というのは、当たり前の話ではあるが、料理の味だけで「良い」「悪い」が
決まるわけではない。1人で食べるよりは、大勢で食べた方が美味しいし、
暗い部屋で食べるよりは、美しい景色を見ながら食べる方が食欲も進む。
私は料理の評論家ではない。従って、1人で寂しく食べる豪華な料理よりも、
愛する家族や大切な友人たちと一緒に食べる質素な食事の方が、遥かに
美味しいと感じるし、それ以前に、心が豊かになり、幸せと感じる。
これが私の価値観である。

家の近所のJYMの2階を借りて、娘のBirthday Party。学校の友達のNZ人、日本人、韓国人、中国人、
イギリス人、アメリカ人がいっぱい来てくれた。質素かもしれないが、最高の食事だった。