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【滋賀】

携帯の電池切れ覚悟 多賀で遭難の男性、直後に救助ヘリ

2009年1月4日

救急車で病院へ向かう遭難した男性(右から3人目)=3日午前10時6分、米原市で本社ヘリ「あさづる」から

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 多賀町の霊仙山で遭難し、入山して4日目に救出された名古屋市西区の会社員平岩高志さん(59)。発見される直前の3日朝、捜索側との連絡手段に使っていた携帯電話の電池が切れた。そのとき、平岩さんは「命が絶たれたと思い、思わず御経を唱えた」という。

 平岩さんは登山歴10年のベテラン。秋に紅葉見物を兼ねて下見で2回訪れ、冬山用の装備を完備し万全を期したつもりだった。

 「ミスに悪天候が重なってしまった」。地図を車に忘れた上にコンパスを読み違え、気付いた時には予定のコースから外れていた。途中で寄った小屋に戻ろうと自分の足跡を探したが、猛烈な吹雪に覆われ跡形もなかった。野営を覚悟した。

 幸い携帯電話が通じたため、米原署員と数回通話。目印になる標識を伝えることができた。風をしのぐために50−60センチほどの穴を掘り風上に雪を積み上げ、寝袋に滑り込み救出を祈った。

遭難した男性を捜索に入山する消防隊員ら

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 2日は湖北消防本部の山岳救助隊員らが捜索に着手したが発見に至らず。3日の午前7時半ごろ、ヘリの音が聞こえた。「名古屋市の平岩さんを探しています。返事してください」と拡声器の声が続いたが、離れた場所を探しているようだった。とうとう携帯電話の電池が切れた。

 「ここまでか」。観念して寝袋に入った瞬間、ヘリが前方に姿を現した。

 手を振ると、パイロットがうなずくのが見えた。「助かった」。収容されると乗組員らが冷え切った手足をさすってくれた。

 2、3の両日で捜索に当たったのは計29人。「こうして話していられるのも皆さんのおかげ。足を向けて寝られません」。平岩さんの口から感謝の言葉があふれた。

 (古根村進然、伊藤弘喜)

 

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