家庭医地域に浸透 生活習慣病の改善指導…

じっくりと話を聞きながら診察する菅家医師
 診療科目の垣根を超えて初期診療に当たる「家庭医」が福島県伊達市の保原中央クリニックで本格的に診察を始めて7カ月余りがたち、役割が地域に浸透してきた。1日の患者は40―50人で、家族ぐるみで受診する例もある。現代版のかかりつけ医とも言うべき家庭医だが、認知度がまだ低い。医師らは「全国でも先進的な拠点としてさらに地域の健康に貢献したい」と話している。

 保原中央クリニックに家庭医療科が開設されたのは昨年5月下旬。全国でも珍しい家庭医養成を行う福島県立医大の地域・家庭医療部から派遣された後期研修医2人が常勤している。

 高血圧や高脂血症などの生活習慣病のほか、風邪をはじめ患者が訴える症状は幅広い。院内に置かれたパンフレットを見たり、ほかの診療科や受付から紹介されたり、受診のきっかけはさまざま。患者の年齢層も当初想定された高齢者に限らず、30―50代も多い。

 1人の受診時間は10分から15分と通常の外来診療より長め。家庭医の1人、菅家智史医師(29)は「生活習慣病は薬だけでは改善しない。普段の暮らしを知るためにも、話題を広げて話を聞くように心掛けている。今後は在宅診療にも積極的に応えたい」と意欲的だ。

 高血圧に悩む伊達市の主婦(47)は義母(78)とともに通院する。「時間をかけて診てもらえるのでありがたい。休日なのにわざわざ義母の様子を気遣って電話をもらったこともある」と話す。

 健康診断の結果、診察が必要になった人が訪れる例も目立つ。菅家医師は「まずは全体を診る点で患者のメリットは多いはず。必要ならばほかの診療科と連携して専門医を紹介する」と言う。

 かかりつけ医として初期診療を担う家庭医は、海外では重要な存在だが、日本ではまだあまり知られていない。家庭医を志す若い医師も以前は少なかった。

 県立医大は家庭医を養成するため地域・家庭医療部を2006年度に発足させた。現在、後期研修医13人が全国から集まり、家庭医を目指している。

 地域・家庭医療部の葛西龍樹部長は「家族ぐるみで受診する人もいて、家庭医の考えが広まりつつあるのを実感している。同様の拠点が福島県内にいくつもできるようにしたい」と将来を見据えている。
2009年01月04日日曜日

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