ドラマ作りは、どろんこ遊びと同じだと思っているんですよ。どんなに汚れても泥だらけになっても気にならないほど、夢中になって楽しみながら作り上げていく。それが一番いいことでね。楽しんで撮っているものは、きっと見ている方たちにも伝わると思っています。
だから現場ではいつも機嫌がいいんです。だって機嫌悪く作っていたらイヤでしょう(笑)。共演者、スタッフも含めてワイワイ言いながら、楽しみながら撮っています。収録の合間でも楽屋に戻ることはないですね。みんなと一緒にいて、いろんな話をしているのが大好きなんです。
時代劇に慣れていない方もいるので、動きのことや時代背景など、お話しできることはお話しして楽しく作り上げていく。『いま撮ったシーンは歴史のここにつながるんだよ』なんて話すと、歴史にがぜん興味を持ってくれますね。自分の役が歴史の中で、どういうポジションにいるのかということも明確になっていく。それによって、お互いの芝居も深みが増すだろうという気がするんです。
僕自身、別々の歴史の本に書かれていたことが、ふいにつながり“点が線になる”瞬間があると、ものすごく興奮します。『ああ、このシーンは歴史のあそこだな』と実感しながら演じるのが大好きですからね。時代劇は学べば学ぶほどたくさんのデータが入ってきます。それをまた自分で調べていく。歴史の行間をどれだけ埋められるかということも役者の表現力の一つだと思うし、考えただけでワクワクします。だから、歴史話、演技話、さらにはバカ話まで、収録の合間の話題も尽きることがないですね(笑)。
調べると言えば、読めない漢字があると許せないタイプなので(笑)、すぐ調べられるように電子辞書をいつも持ち歩いています。あと、字は読めても書けないことが多いので、ひたすら書いて覚えるようにしています。たとえば新幹線で移動する場合、東京を出たときから手近にある週刊誌の余白などにずーっと同じ漢字を書き続けます。名古屋あたりで『よし、完璧に覚えた』と思って一眠りするんですが、京都に着くと『えっ、さっきの字、何だっけ?』って(笑)。
そのくらい字は忘れてしまうから、また書き始める。そうやって書けたときの喜び。みんなに『この字、なんて読むか知ってる?』って見せるわけ。そこで、みんなが読めないときの快感といったらないですよ(笑)。