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派遣切りの孤独な新年 大阪の寒空、帰省もできず雑煮もなく (2/2ページ)

2009.1.4 01:25

 大みそかは大阪市の地下鉄天下茶屋駅周辺を徘徊していたという。人出が多く、駅で寝るのは恥ずかしかったからだ。「早く夜が明けてくれ」と願いながらひたすら歩き続けた。

 途中、前年の大みそかのことが頭をよぎった。恋人と友人ら4人で出かけた伊勢神宮への初詣で。そこで見た、まばゆい初日の出が忘れられないという。あれから、わずか1年。「(今年の元日は)陽が昇ったことさえ気付かなかった。まさに天国と地獄です」

 たどり着いた西成区の公園で、ベンチにあった新聞を手にした。扇町公園で炊き出しをおこなっていることを伝える記事が目に飛び込んだ。迷うことなく地下鉄に乗って同公園へ。所持金は1000円を切っていた。

 そしてすぐに、ボランティア団体が設営したテント暮らしが始まった。しかし、そのテントも5日朝に撤収される。

 「早く仕事を見つけて、母親に元気な声を聞かせたい」。視線は遠くに向けられていた。

 扇町公園には先月下旬に建設業の仕事を解雇されたという男性(30)の姿もあった。

 「大阪なら何とかなるだろう」と大みそかに神戸からやってきた。だが、仕事は見つからず、若者らでにぎわう道頓堀に歩き着いた。将来への不安に押しつぶされそうになりながら、グリコのネオン看板をぼんやり眺めていると、新年を迎えるカウントダウンが始まった。

 「5、4、3、2、1!」。着飾った同世代のカップルらが楽しそうにはしゃぐ姿をみて急に孤独感に襲われた。「もう死のうかな」。故郷の宮崎を思い、涙がこぼれたという。

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