突然の雇い止めなどで職と住居を失った非正規労働者に、年末年始を過ごす場と食事を提供しようと、若者の就労支援事業に取り組むNPO法人「教育研究所」(本部・横浜市港南区)が、所有する黒部市宇奈月温泉の施設を無料提供する「年末緊急救済プラン」が25日、始まった。初日は午後8時現在、男性1人が入所。来年1月5日まで受け付ける。
提供するのは、同研究所が所有する社会保険庁の元保養所。6階建てで、客室(13室)を宿泊用に充てる。
この日、入所したのは、先月まで魚津市の製造工場で派遣社員として勤務していた男性(38)。景気悪化の影響で派遣先が生産ラインを減らし、約3日間の寮待機が続いたため自主退職した。「寮費もかさむし、派遣ならよそで仕事ができるだろうと思っていた」
約1カ月間、新潟や長野のネットカフェや駅で寝泊まりし、フリーペーパーなどの求人情報を見て1日10件以上電話をかけたが、採用はゼロ。数カ月前、専門学校に通う娘に約80万円を仕送りした。生活費で残りの蓄えも尽き、所持金は6000円になっていた。
「これでホームレスかな」。あきらめかけていた矢先に、同研究所の救済プランを知った。男性は「今日、明日の住むところがない状態だった。本当にありがたい」と、ほっとした表情を浮かべた。
宇奈月寮の牟田光生寮長は「働きたいのに働けない人たちを手助けしたい」と、年明けに地元企業などに働きかけ、就職相談会の開催を目指す。問い合わせは同寮(0765・62・9681)。【蒔田備憲】
毎日新聞 2008年12月26日 地方版