1.希土類(レアアース)とは
 希土類は、原子番号57番のランタン(La)から71番のルテシウム(Lu)までの 15元素のグループ(ランタノイド)に、原子番号21番のスカンジウムと39番のイットリウム(Y)を加えた17元素の総称です。それぞれ化学的性質が非常に似ており、しかも一緒に産出します。  
  18世紀末にフィンランドの学者によって希土類の一部が発見された際、それまでに知 られていた一般の土類と同類であるが稀少なので希土(レアアース)と名付けられたもの。 その後数多くの仲間が見つかり、慣習として希土類といわれるようになりました。
希土類元素一覧
(元素名)
(元素記号)
(原子番号)
ランタン
La
57
セリウム
Ce
58
プラセオジム
Pr
59
ネオジム
Nd
60
プロメシウム
Pm
61
サマリウム
Sm
62
ユウロピウム
Eu
63
ガドリニウム
Gd
64
テルビウム
Tb
65
ジスプロシウム
Dy
66
ホルミウム
Ho
67
エルビウム
Er
68
ツリウム
Tm
69
イッテルビウム
Yb
70
ルテシウム
Lu
71
イットリウム
39
スカンジウム
Sc
21


 2.資源としての希土類

 希土と称することから希なものと思われますが、資源的には豊富に賦存します。例えば、 地殻中の濃度を示すクラーク数で見ると、亜鉛70ppm、鉛12.5ppmに対して、イットリ ウム33ppm、ランタン30ppm、セリウム60ppmのようになっています。  

  希土類鉱石は、チタン鉱石や鉄鉱石等の副産物として産出され、産地としては、中国、 豪州、インド等に偏在しています。しかし、資源量的には現状において世界の需要を数百 年満たすことが出来るといわれています。  

  我が国では、昭和40年代までは鉱石を輸入して抽出していましたが、現在は主として 中国から輸入した原料の精製、調製、加工を行っています。現在、希土類の生産は中国が 世界の9割近く(鉱石ベース)を占めており、消費量では我が国が約半分を占めています。


 3.希土類の用途

 希土類の多くは優れた科学的、物理的性質を持っており、様々な用途に使われています。 特に、コンピュータ、情報通信機器等に用いられる電子材料や自動車の排気ガス浄化用触 媒等の素材として必要欠くべからざるものとなっており、21世紀にはIT、地球環境保 全、エネルギー等の分野で益々重要な素材になるものと期待されています。特に、今後重 要な利用分野として、永久磁石、携帯電話向け等のニッケル水素二次電池、自動車用触媒 等があります。

具体的な用途は、次のようになっています。

希土類の主要な用途
酸化希土 研磨材(ブラウン管、カメラ、めがね、複写機等の光学ガラス、パソコンHDD用ガラスディスク、フォトマスク用ガラス、液 晶ガラス等の研磨)
酸化セリウム 自動車排気ガス浄化用触媒、レンズ研磨仕上げ剤、ガラス色消剤
酸化ランタン カメラレンズ材料、セラミックコンデンサー、水素吸蔵合金、高温発熱体、蛍光体
酸化サマリウム サマリウム・コバルト磁石
酸化ネオジム ネオジム磁石(MRIや携帯電話の振動モーター等向け)、セラミックコンデンサー、レーザーガラス、ガラス着色剤
酸化テルビウム 蛍光体、光磁気メモリー
酸化ガドリニウム X線増感剤、原子炉制御材、光学ガラス
酸化ジスプロシウム 磁石添加剤、光磁気メモリー
酸化ユウロピウム 蛍光体(テレビブラウン管用や三波長蛍光灯等向け)
酸化イットリウム

蛍光体、センサー、半導体、耐熱合金、ミッシュメタル(混合希土メタル)ニッケル水素電池材料(この電池は携帯電話、ノートパソコン、電動工具、ハイブリットカー等に広く利用されている)、触媒

  (以上)