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01/03-12:04--準備着々 問われる真価　１月初旬区長内示　ハコモノ一つだけ　岡山市政令市移行

　０２年７月の二つの研究会設立から７年近くの取り組みを経て実現する岡山市の政令市移行まで、いよいよ３カ月を切った。昨年１１月定例市議会では、政令市関連で８３議案が議決され、条例整備は完了。年明けから準備は本格化し、移行後はさまざまなメリットも期待されるが、同市の真価が問われるのはこれからだ。　政令市移行に伴う最も大きな市民生活の変化は行政区の設置で、住所表記も変わる。北区、中区、東区、南区が設置され、１月初旬に初代区長、２月初旬に区役所の職員が内示される。区長は、東京都の特別区のように選挙で選ばれるのではなく、市長が任命する。区役所は、昨年１０月ごろから改修工事が進められ、年明けから引っ越し準備も本格化するが、具体的な時期は調整中。政令市移行に伴い新設され、市保健福祉会館（同市鹿田町１丁目）に入居する児童相談所、障害者更生相談所、精神保健福祉センターは、改修工事中。一時保護所は、同市鹿田町２丁目の市有地に建設中で、４月の移行に合わせてできる唯一のハコモノとなる。一方、具体的なスケジュールは決まっていないが、高谷茂男市長は、灘崎支所暫定活用後の南区役所を「浦安総合運動公園駐車場用地」（同市浦安南町）に新築する方針を表明済み。このほか、地域間格差解消のため、市民サービス拠点も見直し中で今後、「地域センター」（現在の合併地区の支所以外の支所）、「市民サービスセンター」が幾つか整備される可能性が高い。政令市移行に伴い約１５００項目の権限が県から移譲されるが、引き継ぎ内容を精査中。年度末をめどに分野ごとに事務引継書を作成し、調印する予定。市民向けには、１５日の桑田、吉備中学校区から説明会がスタート。２月３日まで３６全中学校区で、市民生活への影響、移行の効果、区役所の機能・窓口などの説明が行われる。　「最も自立した基礎自治体となり、国と直接協議する機会も増える。こうした立場を生かして、岡山から日本を変える気概を持って、地方分権時代をリードしていくことができる」―。昨年１２月２５日の定例記者会見で、高谷市長の鼻息は荒かった。政令市は、現行地方自治制度で最も自立した都市。岡山市は１８番目の昇格で、県から権限と財源の移譲を受け、市域のことを自らの責任で決定できることが広がる意味は大きい。短期間でのメリットは現れにくいかもしれないが、中長期では自助努力の報われる可能性が高まる。国との関係では、地域の実情や政策提言を、県を通じず、直接伝えられる。県内には２７市町村あり、都市規模や地域性などで課題も異なる部分があるが、県を通じると、岡山市の事情だけを訴えるわけにはいかない。国への政策提言が直接できるようになるため、高谷市長が「岡山から日本を変える」と意気込むのも、まんざら夢物語ではない。また、全国的には人口が減少傾向の中、ほとんどの政令市で増加。全国的な企業の進出、出店は、都市格が高い政令市の優先度が高く、決定要素の一つになることが想定され、雇用創出、税収アップ、まちづくりへの活用というサイクルも期待できる。権限移譲の関係で見えやすいメリットは、児童相談所に加え、各福祉事務所への「地域こども相談センター」設置で、子ども相談体制が明らかに充実することだ。従来から学校、幼稚園、保育園、保健所は同市が担っており、連携により一貫した相談・支援体制を築ける。障害者更正相談所、こころの健康センター（精神保健福祉センター）の設置で、障害者福祉・精神保健施策も充実できる。高谷市長は、特に保健福祉分野を重視しており、年末の会見では「関係部署、関係機関が連携していけるよう組織の体制、システムづくりを研究、検討するよう指示している。来年の早い時期に示したい」と力を込めた。道路関係では、県が管理している国県道約６０７�舛隆浜�が移譲され、国道２号、３０号、５３号、１８０号を除くすべての道路が、同市の管理となる。市民サイドからすれば、道路の損傷、陥没などの緊急連絡、道路に関する要望、占用許可申請などの手続きは、同市の窓口に一本化され、迅速な対応が期待できるメリットがある。また、市道と県道の接続部分の道路改良では、県との協議が不要になるため、迅速な対応が可能になる。県が整備中の県道５４路線の改良は今後、すべて同市が施行。０８年度以降の事業費は残り５８２億円に及ぶが、国が道路特定財源の一般財源化の内容を決定していないため、財源的には不透明な部分がある。県からの移譲で道路の維持管理関係の業務量は５８人分増えるとされ、それに見合う人数は確保される予定だが、実際に執行体制が十分かどうか、心配する声は多い。施設管理、苦情処理、境界を決める業務などは、現場に出向く仕事の割合が高く、計算通りにいかない可能性がある。組織的にも、職員は区役所に分散して、他の多くの業務もこなさなければならなくなり、現場サイドでは、まだ見えない部分も多い。それでも、後安はやと土木管理課長は「職員には、確実に仕事を消化していく能力を付けていこうと呼び掛けている。そうすれば、市民にも信頼される仕事ができるのではないか」と前向きだ。

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