●一度は行きたい キレイになる 東京素敵銭湯

 


 
 「世界湯」  新宿区高田馬場3-8-31 

         定休日(土曜) JR・地下鉄東西線「高田馬場」より7分


「1010」という雑誌がある。ふた月一度発行、銭湯情報記事満載、読み応え充分な一冊で、銭湯においてある。無料配布なので、有難く頂くことにしている。その57号(2002年発行)が「東京銭湯マップ」。これ一冊持っていれば、各銭湯の場所から営業時間、休日、おおよその設備などがわかって、とても便利なものだ。もっとも2002年当時の情報なので、定休日が違っていたり、すでに廃業してしまっているところもあるのだけれど。確実なのは電話で確認することなのだけれど、あえて宝探しゲームをする感覚で出かけてゆくのも楽しい。

雑誌には各銭湯の特長が短くコメントされている。載せていないところもある事から、どうやらそれぞれの銭湯が独自でコメントを出したと推測されるのだけれど、とても気になることが書かれているところもある。

「平日女性サービス有り」

ね、気になるでしょう。はたして、女性だけが受けられるサービスってなんだろう? お茶でもご馳走してくれるとか? マッサージ器やドライヤーが無料とか? もしや、女性サービスって、男性客に女性がついて脱ぎ散らかした服をたたんでくれたり、頭皮のチェックをしてくれるというサービスってことは・・・あるわけないよねえ?

ずっと気になったので、この目で確かめようと、行ってきました、高田馬場。神田川にかかる宮田橋ちかくにある「世界湯」。フロントに座るお母さんは、途切れることのないお客さんを相手して忙しそう。と、いうのも、こちらでは男性客だけ靴ロッカーの鍵をフロントに渡さないと脱衣所のロッカーの鍵をもらえないのだ。「男の人って、鍵をそのまま持ってかえって、自分専用にしてしまうの。だから鍵を返さないと、靴を履けないようにしちゃった」お母さんが冗談交じりに説明してくれた。

脱衣所はキレイに掃除されているけれど、少し雑然とした感じがしたのは、張り紙の数が多くてすっきりしないからなんだ、と思ったけれど、アットホームな雰囲気といえばそうかな。湯船はマッサージ風呂、気泡風呂、電気風呂などがそろっている。別売りの塩でマッサージをしたい人は無料サウナが使えるよう。平日女性サービスとは、このことかしら。だけど、仕切り壁の向こうにはまだ何か仕掛けがあるみたい・・・。

ちょうど入ってきたおばあちゃんが仕切りのある方へ行こうとしたから、声をかけて聞いてみると、奥には個室になったシャワールームがあるとのこと。そして、更に奥へ進むと、こちらは有料スペースで、サウナと露天風呂があった。それがまた情緒あるつくりで、サウナには入らなくても、この露天風呂には入りたくなる。薄暗い照明に岩で囲まれた湯船。サウナがメインだから水風呂もある。ドアをあけたまま説明してくれたおばあちゃん、寒いのにありがとうございました。

フロントのお母さんにうかがうと、平成になってから改築し、露天風呂つきサウナも作ったそう。それまでもサウナはあったけれど、なんと、こちらの銭湯のサウナが東京の銭湯で一番最初に取り付けられたのだとか。昭和42年ごろのことで、まだ銭湯の料金が20円とか30円で、サウナは80円だったと教えてくれた。その頃はお客さんもたくさんいて、子供のお守りの「ねえや」が一緒についてきていたという時代。赤ちゃんベッドがいくつもおいておく必要があったそうだ。

肝心の女性サービスの正体をお母さんにうかがうと「豪華なサウナは千円だけれど、それまでのサウナを無料にしたのよ」というお答え。なるほど、なるほど。どうやら、こちらの露天風呂とサウナのファンだという有名人もいるという噂も聞いたから、次に来たときは豪華サウナと露天風呂に入るのだ。お話し上手で素敵なお母さんのいる「世界湯」でした。