ACTION×ZERO |「医療崩壊」 緊急医師アンケート 集計結果

医療の最前線に立つ現場の医師たちは「医療崩壊」をどう考えているのか・・・。

ZEROとACTIONでは「緊急医師アンケート」と題し、
全国の医師の方々にホームページを通じて、およそ1か月にわたってご意見を募集しました。

日々の過酷な勤務の中、本アンケートにご協力いただきまして、誠にありがとうございました。
今回いただいたご意見は『NEWS ZERO』および『ACTION』の放送の中でも一部紹介させていただくことがあります。

○実施時期 平成20年7月22日〜8月25日
○調査対象 全国の医師
○回答数   804 (有効回答数)
○調査方法 ZEROとACTIONのホームページ上で募集

「医療崩壊」 緊急 医師アンケート 集計結果

Q1:

医療崩壊を招いた最大の原因は何だと考えますか?

A:

Q2:

医療再生の最も有効な対策は何だと考えますか?

A:


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小児科では・・・・・急務は「コンビニ受診抑制」

 


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産科では・・・・・「訴訟リスクの軽減」が突出!

 


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Q3:

政府の打ち出している医師不足対策は効果があると思いますか?

A:


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Q4:

医師を適正に配置するためにはどうすれば良いと考えますか?

A:

精神科(44)男性
訴訟禁止。特に外科系だが、当科でも訴訟を意識して積極的な治療を控えることがしばしばある。

循環器内科(33)男性
新臨床研修制度で大都市圏の病院に希望が集中する現状を、 ある程度解消しなければならない。

内科(44)男性
産科などの崩壊した科を増やすなら、なんらかのインセンティブを与える必要がある。
強制配置ではいくら人数を配置しても医療的に充足した状態にはなりえない。

内科(56)男性
新臨床研修制度を廃止して、地方から大学に呼び戻された指導医を復帰させ、 医局主導の医師派遣制度を復活させるのが簡単だが、以前のような教授絶対的な制度は 時代に逆行している。
難しいところだが、民主的な医局制度が出来れば良いと考えている。

内科(60)女性
「適正配置」という言葉そのものが医師の職業的自由、国民としての権利に 抵触する可能性を含み医師の自立性や誇りを阻害します。
医師を含む医療者が、希望と誇りを持てる環境こそが「適正配置」への最も近い道でしょう。

スポーツ医学(40)男性
僻地に行かせたいなら、僻地に魅力が必要です。
症例は少なく、遊びもないので 実際には報酬しかないでしょう。

田中啓一さん(58) 産婦人科・精神科 男性
まず適正配置という発想がおかしい。
診療科目ごとに報酬額をそれぞれ適正化しなければ まったく解決できない。

内科(43)男性
まず僻地に行っても責任を持って働ける臨床研修制度の充実が不可欠。
その上で以前大学が握っていた人事を都道府県ごとにセンターを作って初期研修を終えた後期研修医が一定の年数地域に配属されるシステムを作り、そのための報酬を送った病院に対し、行政が支払う。

内科(41)男性
適正配置や足りないところに人を増やそうとする考え自体が間違っているのではないか。
現時点では今いる医師が辞めないようにするのが大事で、そこさえできれば自然に人は増える。

内科(45)男性
ある程度大規模な病院を集約化し、診療所との役割分担を明確にし、かつ連携すること、医師の派遣についての何らかのルールを作ること、無過失制度などの創設も必要であるし、 労働環境自体を改善することが必須です。

内科(53)男性
産婦人科・小児科・救急医療・外科などのリスクの高い分野には、それに相応しいインセンティブを与えるべきである。インセンティブによって医師を誘導すべきである。
又、地方への医師派遣のためには、自治医大を新たに3,4校新設すべきである。

外科(47)男性
各地の中核病院が働きやすく仕事に対するモチベーションを維持できるような環境を作れば医師は集まってくると思います。

眼科(40)男性
以前の医局制度のようなものがやはり必要であると思います。
その弊害があったのは事実ですが、それを役人に任せるともっとひどいことが起こるでしょう。

泌尿器科(48)男性
地域毎に、科毎に必要な医師数を設定することが第一、まずそれを実行するためには地域エゴをなくさないといけないと思います。また人材の振り分けを公的な機関が一括して行う必要があると思います。

池田佳広さん(34)循環器内科
医師を強制に地方に配置するとか、大変で人気のない科に強制的に入れる、とか。
そういった事は、医師のモチベーションを下げ、結局は医師の質の低下につながるので反対である。
単純に医師の給料を増やすという方法よりも、医師のやりがいを増やす。
具体的には、医師が医療に専念できるように、事務的な仕事は事務員や医療秘書にやってもらうとか。

救急(35)男性
医師を増やす、アクセスを制限するの2点でしょう。

救急(38)男性
臨床研修制度を元に戻すべきだと思うが、もう無理かもしれない。
皆医局に所属しなくても食べていけるどころか、つらい第一線の医療をしなくてもよいことを知ってしまった。

循環器外科(41)男性
強制以外方法はないでしょう。かつては大学医局が担っていたのですがね。

内科(26)男性
当面の対策として、医師を集中させて医療機能を集約するしかない。
その結果、地方の医療圏の人手はなくなるが、アクセサビリティを上げるなどして対応するしかないだろう。

産婦人科(55)男性
医師の配置をコントロールしてきた従来の「医局」のような、新しい「システム」を 「公的に創設する」しかないと思います。

長谷充康さん(47) 循環器科 男性
医師を全員公務員扱いとし(警察官と同様)逮捕権に相当する治療権(治療に基づく刑事訴追の免除・例外あり)を与え、僻地を含め病院は半官半民として医師の希望とあわせローテーションを行う。
その分給料を保障してもらい、安心して働けるよう調整する。

整形外科(35)男性
各県に定員制を導入することです。

呼吸器内科(29)男性
地域に就職する希望のある学生を優先的に地域の大学に合格させるか、地方の医師の給料を大幅に増額する以外の方法が思いつきません。

木曽伸浩さん(42)男性 整形外科
開業前の5年間を田舎の病院勤務に義務づける制度にした方がいいと思う。

NICU勤務(41)男性
各地域にマグネットホスピタルとなる巨大病院を設置すべき。
そのマグネットホスピタルから過疎地域に一定期間派遣するようにします。

研修医(27)男性
まずは正確なデータを取ること。
そして大学病院のような人が余っているところから 足りないところへ再分配するべき。特に若い研修医は大学病院で研修しても 全く意味がない。
地方に出てどんどん戦力として使うべきと思う。

産婦人科(40)男性
即効性のある方策としては、医師総動員態勢を取ること。
地域に中核病院を作り、そこで働く意志は大学病院からの派遣医師だけでなく、 その地域の医師会とも連携し、クリニックを開業している医師や休職中の女性医師にも非常勤で勤務してもらい、活用するべきだと思います。

研修医(27)男性
小児から老人まで幅広く診察できる総合医・家庭医の育成が急務であると思われます。
僻地医療に関してもかなりの部分を担うことができ、専門性が必要であれば紹介する システムを整えるべきだと思います。

内科(43)男性
まず、医療の現場で起きる様々な問題を、専門的に検討し分析する、警察でない第3者機関の設置が必要。
医療側の責任ばかりでなく、患者の義務についても追求できる社会の構築。
このようなことで勤務医・救急医のストレスを軽減する。また勤務医と開業医での 収入の格差を是正する。

松本尚さん(46) 救急医
開業医と勤務医の診療分担を考えるべきでしょう。
医師の配置が不適切なのではなく 患者の流れが適切ではないのだと思います。

内科(55)男性
従来あった医局制度を復権させることです。
医局制度は白い巨塔の中心的な権力構造として、マスメディアには悪の権化のように報道されましたが、その中には地域医療を安定化させるための、医師配置の調整機能がありました。
マスメディアにもう少し冷静で、分析的にメリット、デメリットを考察するような姿勢があれば、厚労省も新臨床研修制度の創設には動かなかったと思います。

Q5:

その他、医療崩壊を感じた体験談などご自由にお書き下さい。

A:

循環器内科(34)男性
友人の小児科医は月に15回当直をしている。
つまり、月に15回の徹夜、および40時間以上の連続勤務を強いられている。

神経内科(32)男性
コンビニ救急が酷いので、救急での時間外診療費を全額徴収することにしました。
その後、救急受診をされる患者さんの数は、昨年度比で35%減りました。

泌尿器科(28)男性
当直をしていたとき、子供を見て欲しいと救急外来を受診した親子がいました。
明らかに軽症であり、同時に別の入院患者の緊急処置をする必要があったためしばらく待って頂く旨を患者さんに伝えました。
しかしその親は、「すぐに診てくれるのが 救急外来じゃないのか」と怒りました。

内科(31)女性 
夫の話ですが、非常に忙しい勤務医で相当な時間外労働を強いられています。
しかし、病院側からは、その病院の医師全員に対し、何かあったときに過労死の基準に引っかかっては困るので、 超過勤務時間を正確に報告しないようにと内々に通告されています。

内科(43)男性
昔は患者が亡くなったら、家族のかたは「先生、ありがとうございました」と言ったものだが、
最近は死亡宣告すると、「何か医療ミスはなかったのでしょうね。」と言う。
マスコミの影響も大きいとは思うが、むなしくてやってられない。

腎臓内科(30)女性
同期生のメジャー科離れを感じています。
臨床研修を終えて、内科医、産科医、小児科医の現状を見てから、
それらの科から進路変更した人が何人もいます。

外科(32)男性
48時間連続勤務はざら、車で3時間かかる関連病院での当直、昼食を食べる時間すらないのが常、
患者に「先生、顔色悪いよ」と逆に心配される。
働きっぱなしなのに超過勤務手当は出ない、タダ働きだと思うとやるせない気持ちになることもある。

救急医(36)女性
給料も研修医は30万、私の基本給34万。
10年の差があり、精神的責任も非常に重い状態でこの4万の差しかないのは正直やってられない。
患者の家族に殴られて辞めた医師。患者の家族に夜中に訪床され、缶ビールを飲まれた。
注意したら目の前で残りのもう一本を飲まれ、空き缶を渡された。

泌尿器科(35)男性
勤務時間は7時から23時。年中無休。年収は1000万以下。リスクも高く、かつ多い。
使命感だけで続けるにはあまりにも捨てるものが多く、 かといって大声あげる気力もなく、
現場を“去る”ことで意思表示をしている多くの地方病院の医師の声に気付いて下さい。

小児科(34)女性
ある妊婦のだんなさんが大暴れしたことがありました。
「奥さんのお産の最中に、産科の医師が背中を向けた」ことが理由でした。
警察の方が来ましたが、「あんたが謝れば許すっていってるんだから」と産科の先生が土下座させられました。
その後そのだんなさんは再び戻ってきて暴れ、警察に連行されました。
たった一人で奮闘されてる年輩の先生です。その時、涙が出るほど悔しかったのを覚えています。

呼吸器外科(38)男性
大学病院の外科医局には新人の入局者がほとんどいません。民間病院で研修中の研修医の中にも外科を希望する医師はほとんど見たことがなく、日本外科学会の試算でも将来的に外科医がいなくなると警告しています。外科の訴訟リスクは高く、1人前になるにも時間の要します。こんなリスクを抱えて困難な外科医の道を選択する医師がごく一部しかないのは当然でしょう。

心臓外科(32)男
多いときは一月に20日ほど病院から帰れない。泊まった次の日も通常の勤務があり、
2晩ほど全く寝ることなく心臓手術を行うこともしばしば。
全く病院に行かずに休む日は 2,3か月に1日あるかないか。

麻酔科(50) 男性
アメリカで研修を受けようとする若い医師が激増している。
彼らの大部分はそのままアメリカで職を得ることになるだろう。

 

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