多数のご意見、本当にありがとうございました。(第20回)

December 30, 2008 8:44 PM

明日は大晦日。今年もいよいよ終わろうとしています。
今年1年間、この「取材ノート」におつきあいいただき、ありがとうございました。
医療現場からの切実な声。書き込み内容をめぐって討論、激論もありました。
また、私たち報道機関に対する厳しい指摘は心に滲みました。
いただいた書き込みはおよそ900件に達しました。

印象に残っている場面があります。
それは3月11日のNEWS ZEROで「救急崩壊」を特集した時のこと。
救命救急センターでの救急医療最前線でカメラがとらえたのは
「受け入れたくても受け入れられない」という厳しい現実だった・・・という内容の特集を
放送した6分後、医療班の取材ノートに真っ先に届いた書き込みは「北海道の勤務医です」さんからの

『放送見ました。ありがとうございます。感謝しています。
明日からまたがんばります。』

という2行のメッセージでした。
あの日、特集のあとのNEWS ZEROの放送がまだ続いている中で、
私は、この短いメッセージをじっと見ていました。
現場の勤務医の皆さんの、ぎりぎりのところで持ちこたえている状況を、
如実に物語っていたからです。

『医療を救う』ことは私たち自身の命を救うこと。
1年間の取り組みを通じ、その思いを強くしました。
2008年ACTIONの取材ノートはまもなく終わりますが、
「医療崩壊」を食い止めるための報道は、いかなるかたちにせよ、
今後も続けていきたいと思っています。

なお、12月18日に発売しましたACTIONの本「ACTION『日本崩壊』五つの難問を徹底追跡する」(新潮社刊)の文中で、前述の「北海道の勤務医です」さんからのメッセージをはじめ、取材ノートへの皆さんからの書き込みをいくつか紹介させていただきました。この場を借りまして報告並びにお礼申し上げます。ありがとうございました。

あさってから始まる2009年が皆様にとって実り多き年となりますよう祈っています。
また、来年のACTION2009にもご注目ください。


posted by 森田公三 at 20:44|コメントを読む/書き込む (0)

開局55年報道特別企画
ACTION「日本を動かすプロジェクト」2008最終章スペシャルは(第19回)

December 23, 2008 12:09 PM

今年1年続けてきた2008年の「ACTION」は本日、最終章を迎えます。
私たちは「医療崩壊」の現実をまず見つめよう、と訴えてきました。
NEWS ZEROを中心に発信し続けたつもりですが、1年という期間では
現実の一端を見ることが精一杯だったというのが正直な気持ちです。
それほどまでに医療を取り巻く問題は裾野が広く、根も深い・・・それが実情でした。

きのう、麻生首相は、来年度予算の「重要課題推進枠」の配分先を決めました。
その中で、医師不足対策や救急医療の充実のために、304億円を上乗せすることを決めるなど、医療崩壊対策には配慮した内容となっています。

もちろんこれで問題が解決するかと言えば、そんな甘いものではないと思います。
根本的な「医療再生」には、「兆」単位の財源の議論が不可避とされているわけですから・・・
ただ、医療崩壊の現状が看過できない、ということは、さすがに政府も
従来よりは痛く感じている、ということなのでしょう。

この取材ノートへのご意見でも指摘がありましたが、医療の現場からは
「来年は医療崩壊はもっと進むだろう」との厳しい声が数多く聞かれます。
そういう声を聞くにつけ、社会部のデスクとしては、ACTIONのこの1年の取り組みは
まだ「始まり」なのだ、と感じています。
ACTIONとしてはひと区切りでも、医療の崩壊を少しでも食い止めるために、
私たちは今後も取材し発信し続けていかなければならないと思っています。

「受け入れ不能」などによる犠牲者がこれ以上出てはならないという最優先の課題はもちろんですが、
並行して、将来を見据え、養成数が増えることになった医師たちの「育成のシステム」。
ここをもっとしっかり見ていかなければならないのではないかと考えています。
具体的には、大学医局のあり方、研修制度のあり方、そしてどうやって医師を必要なところに配置するかその方策、などの議論が重要ではないかと思います。

最後に、本日の番組の告知をさせていただきます。
冒頭にも書きましたが、本日12月23日(火)午後4時53分から午後8時54分まで、
ACTION「日本を動かすプロジェクト」2008最終章スペシャルを、4時間生放送します。
医療崩壊の問題についても、番組の中で今年1年を総括します。

ぜひともご覧頂き、ご感想、ご意見は下記フォームよりお書き込み下さい。
また、過去の取材ノートもこの機会にぜひご一読いただければと思います。

あわせて、12月18日に発売されましたACTIONの本
「ACTION 『日本崩壊 』五つの難問を徹底追跡する」(新潮社刊)も
全国書店で販売中です。一度、手にとっていただければ幸いです。

posted by 森田公三 at 12:09|コメントを読む/書き込む (47)

医療を守るために何が必要か・・・3夜連続で考えます(第18回)

December 16, 2008 10:42 PM

きょう、また、医療崩壊の現実を示す数字が明らかになりました。
総務省消防庁がまとめた「2008年版消防白書」の中の数字です。
救急車が通報から現場に到着するまでの時間が2007年の全国平均で
7.0分と過去最悪。現場から病院に患者を収容するまでの時間も
26.4分でこれも過去最悪となったのです。

通報から現場到着までに時間がかかる背景事情として、緊急性が低いのに安易に
救急車を呼ぶ人が増え、救急車の出動件数が増加しているということが指摘されています。
その結果、救急車が足りなくなり、遠くの消防署から出動することが増える、そして
現場への到着が遅くなる、という負のスパイラルが起きているのです。
現場から病院までの時間がかかるのは、医師不足や慢性的な満床のため
「受け入れ不能」状態になっている病院が多いことが影響していると見られています。
このような数字を目の当たりにして、改めて、日本の医療を取り巻く状況の危うさ、
そして対策の緊急性を感じずにはいられません。

今年1月にスタートしたACTIONというプロジェクトは、まもなく1年が経とうとしています。
「医療崩壊」を扱ってきた「NEWS ZERO」では今夜(12月16日)から3夜連続で特集を組みます。
一夜目の今夜は、地域医療を救うために中核的な公立病院と地域の開業医・医師会が
役割を分担し、かつてない連携を実現した鹿児島県鹿屋市のいわゆる「病診連携」の取り組みをお伝えします。

地図の上で、コンパスを使って「医療圏」という円を描き、軽症者を扱う一次救急は開業医や診療所が診る、重症者を扱う二次・三次救急は大きな病院が受け入れる・・・と、机上で「連携」を描くことは
難しくはないでしょう。しかし、それを実現するとなると、簡単ではありません。大事なことは「地域の医療を守る」という思いではないか・・・鹿屋のケースを見てそんなことを思いました。そしてそれは医師側だけの問題ではなく、利用する側の「住民」にも必要なことではないかと痛感しました。

医療崩壊をどうすれば食い止められるか、今夜からの3夜連続特集を見て、一緒に考えていただければと思います。

posted by 森田公三 at 22:42|コメントを読む/書き込む (19)

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