本日、医療崩壊に関して「ZERO Village」放送します。(第9回)

April 18, 2008 10:57 PM

いつも貴重なご意見をいただき本当にありがとうございます。

本日4月18日の「NEWS ZERO」(23時40分から放送)の内容について、お知らせがあります。

村尾信尚キャスターが、現場の医師4人と元厚生大臣と「医療崩壊」について交わした激論を、
「ZERO Village」というコーナーでお送りします。

4人の医師は、それぞれ産婦人科医、小児科医、外科医、心臓外科医。
ぜひ見て、ご意見をお寄せいただければ幸いです。

なお、本日のZEROの放送については、実際は1時間半以上にわたって交わされた議論を
編集したもので、時間の制約上カットした場面もあります。

このため、ZEROの中ではお伝えしきれなかったトークも含めたロングバージョン「1時間半版」を
あす4月19日(土)の午後9時から午後10時30分、ニュース専門チャンネルの
「日テレNEWS24」(CS、ケーブルで放送)で放送します。
こちらも見ていただければと思います。


posted by 森田公三 at 22:57|コメントを読む/書き込む (9)

とても大事な「制度作り」です。大いに注目しましょう。(第8回)

April 4, 2008 11:56 PM

医療崩壊の流れを変えられるか、という観点からも注目される
新しい制度作りの議論が進んでいます。きのう大きな動きがありました。

医療事故死が起きた場合に原因究明をはかるための新たな第三者機関、
仮称「医療安全調査委員会」の厚生労働省第3次試案が公表されたのです。

厚生労働省が昨秋公表した第2次試案については、
現場の医師から「第2次試案ではかえって訴訟案件を増大させ、
医療の萎縮を加速させてしまう」と、強い反発の声が聞かれました。

今回の第3次試案は、第2次試案に比べると、ずいぶんと医療界の窮状に
配慮したものになっていると言えるのではないでしょうか。

まず、医師法21条を見直し、今はすべてを警察に届け出ることになっている
「異状死」のルールを変えるとしています。

「異状死」については日本法医学会がまとめたガイドラインに定義が示されています。
そのガイドラインを見ると、「異状死」の分類として、まず「不慮の事故(死)」があげられ、
「交通事故」「火災」「窒息」「中毒」などが例示されているほか、
「自殺」「他殺」などが列挙されています。
これらについては、医師が警察に届け出るということについて異論がある人は少ないと思います。

問題は、異状死ガイドラインの中で【4】として分類されている
「診療行為に関連した予期できない死亡、およびその疑いがあるもの」というカテゴリーです。

このカテゴリーについては次のような説明が付されています。
「注射・麻酔・手術・検査・分娩などあらゆる診療行為中、または診療行為の
比較的直後における予期しない死亡。診療行為中または比較的直後の急死で、
死因が不明の場合。診療行為の過誤や過失の有無を問わない」

医療現場から話を聞くと、こうした「死」の中には、
医療行為を「過誤なく」行なっていても避けられないものがあるといいます。
しかし、医師側はそのすべてを警察に届け出なければならない、
というのが医師法21条に基づく現在のルールなのです。

そして、これが、「医療」に警察が介入しやすくする構図を生み出し、
医療の萎縮につながっている・・・このあたりの実情は、当ブログへも
医師の皆さんから多数の意見が寄せられているところです。

今回、厚生労働省がまとめた第3次試案では、
この医師法上の異状死の届け出のしくみを大きく見直す前提で組み立てられています。
病院側が届け出るべき「診療に関わる患者の死」の範囲は
「誤った医療を行なったことが明らか」などの場合に限定し、
その届け先も警察ではなく、新設する「医療安全調査委員会」に一本化する、とされています。

ただし、調査委員会が「警察に知らせる」というルートは残しています。
調査の結果、「カルテの改ざんや隠蔽」や、「医師が過失を繰り返していた場合」、
さらには「故意」や「重大な過失」があった場合など、
「悪質な事例」に限って、警察に通知するということになっています。

一方、亡くなった患者の遺族が直接、「医療安全調査委員会」に調査してほしいと
依頼、つまり訴え出ることもできるとしています。

制度のしくみはもっと細かく記されていますので、ぜひ一度、
厚生労働省のホームページなどで確認していただきたいと思いますが、
この第3次試案に対しても、早速、医師側、患者・遺族側の双方から、
不満や批判の声が聞こえてきています。

医師側からは、なおも警察への通報のしくみが残っていることへの不満など。
遺族側からは、医療側に寄りすぎている制度ではないかなどの不満です。

どんな調査委員会を望んでいるか、という点で、
医療側と患者・遺族側では根本的に考えが大きく違っています。
その中で新しい制度を作るというのは本当に至難の業です。

ただ、これだけは願うのは、
医療事故の原因究明のための「第三者調査機関(委員会)」は作るべきだし、
作るからには納得できるものを作らなければならないということです。

この制度・しくみが私たちにとってとても重要なものであることを忘れてはいけません。
もし、自分の家族が、死亡する可能性がさほど大きくないと思われていた手術を受けたあと、
予期せぬ容態の急変で死亡してしまった・・・そういう事態に直面してしまった時、
私たちはどうするか、ということを思えば、その重要性がわかります。

何よりも、死に至った本当の原因が知りたいと思うのではないでしょうか。
病院・医師側には出来る限りの真摯な説明を求めることでしょう。
しかし、納得がいかない時、医学的見地からきちんと調べてくれる機関があれば頼りになります。
そんな信頼に足る制度・しくみを、みんなで知恵をふりしぼり、ぜひ創出を、と心から思います。

それから、やはり忘れてはならないのは、医療事故が起きた後のしくみも大切ですが、
医療事故自体をいかに少なくしてゆくか、という視点です。
結局ここでも大切なのは、医師不足の解消ではないでしょうか。
余裕のない診療体制の中でミスが増えるということは容易に想像がつきます。

医療事故に関する「調査委員会」新設の問題については、
まだまだこれから活発な議論が行なわれていくものだと思いますし、
私たちも大いに注目して、今後もACTIONなどで取り上げていきたいと思います。

posted by 森田公三 at 23:56|コメントを読む/書き込む (19)

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