本日、医療崩壊に関して「ZERO Village」放送します。(第9回)
いつも貴重なご意見をいただき本当にありがとうございます。
本日4月18日の「NEWS ZERO」(23時40分から放送)の内容について、お知らせがあります。
村尾信尚キャスターが、現場の医師4人と元厚生大臣と「医療崩壊」について交わした激論を、
「ZERO Village」というコーナーでお送りします。
4人の医師は、それぞれ産婦人科医、小児科医、外科医、心臓外科医。
ぜひ見て、ご意見をお寄せいただければ幸いです。
なお、本日のZEROの放送については、実際は1時間半以上にわたって交わされた議論を
編集したもので、時間の制約上カットした場面もあります。
このため、ZEROの中ではお伝えしきれなかったトークも含めたロングバージョン「1時間半版」を
あす4月19日(土)の午後9時から午後10時30分、ニュース専門チャンネルの
「日テレNEWS24」(CS、ケーブルで放送)で放送します。こちらも見ていただければと思います。
Comment
K(非医療従事者) さん
私はDr.Booさんと同意見です。番組は拝見しましたが、10分くらいの放送でしたね。重要な内容だと感じましたのできちんと全部地上波で放送してほしいと思いました。確か、深夜でしたけど絢香さんが主催されたライブが長時間放送されましたよね? 最悪あのような形でも構いませんので可能な限り日本テレビスタッフの皆さんには地上波で放送できるように頑張っていただきたいと思います。尚、その場合は早めに広報して下さいね。お願いします。
ネットカフェ様へ
私は現在本当にたまにPCからアクセスする事もありますが、主に携帯電話からアクセスしています。不便極まりないのですが、ネットカフェなら全編を見る事ができるのでしょうか? どのように全編を見る事ができたのか具体的にお伺いしたいです。よろしくお願いします
2008年05月26日 23:47
ネットカフェ さん
ZEROVillageの医療崩壊討論、全編をネットで見ました。現場の医師の皆さんの真剣な討論は大変見ごたえがありました。医療スタッフの増員、医療予算の増額は必要なのでしょうね。南淵先生が例を上げていたうまくいっている地域の実情もぜひ取材してください。
2008年04月29日 14:29
うぃすてりあ さん
今回の議論で明らかになったこと
文民はこの期に及んで医療従事者の不足の問題をあくまでも地域の偏在、診療科間の偏在の問題にすり替えようとしていること。あれだけ本田先生が力説してもこの姿勢は崩しませんでした。
社会保障費はなるべく抑える方向であること。最低限の社会保障を確保しようとすると、消費税の増税が必要であるということをなぜ隠す?
文民は火事を消す努力はしないということ。焼け石に水的な政策ばかり。すべて現場まかせで、現場が頑張るかやけ落ちるかを高みの見物に徹しているということ。
パフォーマンスは得意だが、問題は現場に丸投げ。不満の矛先をそらすことしか考えていないようです。医療の管理者は医師ではありません。国家です。管理者として国民に十分インフォームドコンセントをする必要があるのではないでしょうか。
2008年04月27日 22:50
Dr.Boo さん
先日の「ZERO Village」を、CS、ケーブルの契約をしていないために見られませんでした。
こういう番組こそ、現在の医療状況を一般の方にも広く認識して頂くために、通常のプログラムとして放映して欲しいと思います。
2008年04月23日 12:41
内科医 さん
本日の国会質問で、医療事故調に関する厚労省と法務省・警察の説明に齟齬があることが明らかになりました。
厚労省はウソをついていたわけです。
これまで『厚労省によると、法務局や検察庁などからは、この案(第三次試案)の公表について了解する旨の覚え書きを得ているといい、同省としては「刑事訴追については『謙 抑的』な対応をすることで了解を得ているものと考えている」』(日経メディカルオンライン 2008.4.3)と考えられてきました。
しかし、4月22日の衆院決算行政監視委員会で、橋本岳議員(http://www.ga9.jp/profile/)の「厚労省は法務省・警察庁との間でどの程度まです り合わせをしているのか」という質問に対し、「特段、警察庁と厚労省との間で交わした文書はございません(警察庁 米田刑事局長)」「ただいま文書というようなご指摘がありましたけれど、そのような文書を交わしたという事実はございません(法務省 大野刑事局長)」と法務省および警察庁が答弁しました。
厚生労働省の説明が待たれるところです。
○質疑の映像
http://www.shugiintv.go.jp/jp/wmpdyna.asx?deli_id=39012&media_type=wn&lang=j&spk
id=11744&time=02:39:37.1
○発言内容の書き起こし
http://expres-info.net/acv/2008/04/422.html
過去の厚労省官僚の発言です。
1)日本医事新報 No.4381 (2008年4月12日)
NEWS 死因究明制度で第三次試案-厚労省
p6『捜査機関との関係については「別紙」(9項)として、厚労、警察、法務の3省庁で合意したとする内容がQ&A形式で示されている。』
→この『(別紙)捜査機関との関係について』には、
(問1に対する答として)
『刑事手続きについては、委員会の専門的な判断を尊重し、委員会からの通知の有無や行政処分の実施状況等を踏まえつつ、対応することとなる。』
『その結果、刑事手続きの対象は、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に事実上限定されるなど、謙抑的な対応が行われることとなる。』
(問3に対する答として)
『この場合、検察の起訴や刑事処分は、行政処分の実施状況等を踏まえつつ行われることになる。』
p8(行政処分に関する記載において)
『佐原室長は、今後行政処分が刑事処分の前に行われるようになれば、「行政処分に追加してさらに刑事処分が行われることはなくなる」との見解を法務省が示していることを明 らかにした。』
2)日本医事新法 No.4379(2008年3月29日) p8
NEWS 死因究明制度 「通知制度がなければ警察が独自に動く」 厚労省の二川課長が講演
(3月14日の日本医療法人協会の代議員会での二川課長の講演)
『二川課長はこの制度を「警察が独自に動くことをブロックする仕組み」と説明』
『(まず調査委員会で調査することを)法律上担保できないか」との質問に対し、二川課長は「 警察は通知の有無を踏まえて対応する。通知がない場合は調査委員会での調査を勧める」と説明した。』
3)日経メディカルオンライン (http://medical.nikkeibp.co.jp/ )
2008.4.3 シリーズ●どうなる?医療事故調《5》
事故調第三次試案、ここが変わった!
医療機関への行政処分や黙秘権など進展、過失の法的判断については変わらず
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200804/505980.html
『厚労省によると、法務局や検察庁などからは、この案の公表について了解する旨の覚え書きを得ているといい、同省としては「刑事訴追については『謙抑的』な対応をすること で了解を得ているものと考えている」という。』
4)日経メディカルオンライン( http://medical.nikkeibp.co.jp/ )
2008. 1. 23 【連載】どうなる?医療事故調《2》
「医師法21条、現状維持でいいんですか?」
厚労省医療安全推進室長の佐原康之氏に聞く
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200801/505352.html
『──謙抑的ということですが、検察が事故調の報告書を見て安易に立件するようになったりしませんか。
佐原 検察は何でも立件しているわけではありませんから。検察も、「事故調からの通知の有無を十分踏まえてやっていきます」と言っています。しかも、「事故調のような仕組みがき ちんとできるのであれば、検察は引っ込む」とまで言っているのですから、そこを信用してもらえなかったらこの話は進みません。』
2008年04月23日 06:37
一医者 さん
4/18の医療崩壊の討論会は、非常にメンバー構成が良く、1時間半に及んだという討論が、短時間の放送だった事が残念です。地上波でのフル放送を期待します。今の医療崩壊の危機が、どういうものなのか、国民にわかってもらうことも急務です。国の政策に期待しても、対応は遅く、結果もきっとお粗末なものしか期待できないでしょう。
今回のような現場医師、厚生省役人が同席の上で、報道を通じ、国民に、医師の実態(足りないのは地方だけではない、給与と勤務実態の不均衡など)、その上で『医療という不確実なものに対し、結果論で、刑事事件となる(民事じゃない)』ことへの怒り、これらをわかりやすく説明し、国民も自ら医療崩壊の危機を知ってほしいと思います。
2008年04月21日 03:11
岡山の内科医 さん
仕事のため、ビデオの録画を拝見しました。
医療崩壊を食い止めるため、各出演者の方の真摯な主張が繰り広げられたと思います。
丹羽議員と本田医師が、医師の養成数不足について激しく議論されていたと思いますが、1986年に閣議決定された医師養成数削減策は明らかに失政であったと認め撤回することを、出発点にすべきであると考えます。交代勤務すら取れず、月数回の当直時に32時間以上の連続勤務を強いられるような医師数は、明らかに少なすぎです。
医療訴訟による萎縮医療も、イメージ先行で実際は少ないという南淵氏の発言も疑問です。病院勤務医を対象にした日本病院会の調査では、勤務医の6.4%が訴訟を起こされ、19.5%が裁判に至らない医事紛争を経験したとされています。普通に仕事をしていて、4人に1人が裁判沙汰に巻き込まれる職業が他にあるでしょうか?
2006年に起こった前代未聞の福島県立大野病院事件事件を境に、医療崩壊は一気に加速しました。医療界の司法不信は最高潮に達しています。これに対して有効な対策を早急に立てないと、救急・小児医療などリスクの高い医療は、回復不能の打撃を蒙ることになります(産科医療は、既に後戻りできない所まで壊されています)。対応策として検討されている医療事故調の3次試案は、崩壊を更に加速させる危険性が高いと考えられます。
2008年04月21日 01:29
内科医ですが さん
昨夜の「ZERO Village」を拝見しました。
崩壊寸前の日本の医療提供体制を、何とか食い止めたいと願う医師側のぎりぎりの意見が出されており、大変興味深く見ておりました。自民党の丹羽議員も、現在の医療崩壊には、かなりの危機意識を持っておられるようですが、医師の側からすると、まだ危機感が足りないように感じました。いい内容だっただけに、あまりにも放送時間が短かったのが非常に残念でした。
国民に、現在の深刻な医療崩壊の実態を知らせるためにも、もう少し時間をとっていただいた上で、再度、地上波での放送をお願いいたします。
2008年04月19日 12:26
ふじ さん
診療報酬の問題は勤務医ばかりではありません。開業医だってぎりぎりです。
どこの資本主義社会で、従業員とオーナーの給料の差を議論する新聞がありますか?
上場企業の社長と従業員の給与を比べるNewsがありますか?
受付と医師しかいないクリニックで、皆さん安心ですか?
開業医は儲かっているのではないのです。勤務医が安い給料なのです。
今日の番組で2400億円を勤務医の対策に当てているとのこと。
10万人以上いる勤務医に全額割り振っていったいいくらの年収の増加になりますか?
後期高齢者の定額医療について、いくら検査を受けても一定額の医療がよいですか? 食べ放題の焼肉店では高級素材は扱いませんよ。
2008年04月19日 00:36
コメントはこちらから
とても大事な「制度作り」です。大いに注目しましょう。(第8回)
医療崩壊の流れを変えられるか、という観点からも注目される
新しい制度作りの議論が進んでいます。きのう大きな動きがありました。
医療事故死が起きた場合に原因究明をはかるための新たな第三者機関、
仮称「医療安全調査委員会」の厚生労働省第3次試案が公表されたのです。
厚生労働省が昨秋公表した第2次試案については、
現場の医師から「第2次試案ではかえって訴訟案件を増大させ、
医療の萎縮を加速させてしまう」と、強い反発の声が聞かれました。
今回の第3次試案は、第2次試案に比べると、ずいぶんと医療界の窮状に
配慮したものになっていると言えるのではないでしょうか。
まず、医師法21条を見直し、今はすべてを警察に届け出ることになっている
「異状死」のルールを変えるとしています。
「異状死」については日本法医学会がまとめたガイドラインに定義が示されています。
そのガイドラインを見ると、「異状死」の分類として、まず「不慮の事故(死)」があげられ、
「交通事故」「火災」「窒息」「中毒」などが例示されているほか、
「自殺」「他殺」などが列挙されています。
これらについては、医師が警察に届け出るということについて異論がある人は少ないと思います。
問題は、異状死ガイドラインの中で【4】として分類されている
「診療行為に関連した予期できない死亡、およびその疑いがあるもの」というカテゴリーです。
このカテゴリーについては次のような説明が付されています。
「注射・麻酔・手術・検査・分娩などあらゆる診療行為中、または診療行為の
比較的直後における予期しない死亡。診療行為中または比較的直後の急死で、
死因が不明の場合。診療行為の過誤や過失の有無を問わない」
医療現場から話を聞くと、こうした「死」の中には、
医療行為を「過誤なく」行なっていても避けられないものがあるといいます。
しかし、医師側はそのすべてを警察に届け出なければならない、
というのが医師法21条に基づく現在のルールなのです。
そして、これが、「医療」に警察が介入しやすくする構図を生み出し、
医療の萎縮につながっている・・・このあたりの実情は、当ブログへも
医師の皆さんから多数の意見が寄せられているところです。
今回、厚生労働省がまとめた第3次試案では、
この医師法上の異状死の届け出のしくみを大きく見直す前提で組み立てられています。
病院側が届け出るべき「診療に関わる患者の死」の範囲は
「誤った医療を行なったことが明らか」などの場合に限定し、
その届け先も警察ではなく、新設する「医療安全調査委員会」に一本化する、とされています。
ただし、調査委員会が「警察に知らせる」というルートは残しています。
調査の結果、「カルテの改ざんや隠蔽」や、「医師が過失を繰り返していた場合」、
さらには「故意」や「重大な過失」があった場合など、
「悪質な事例」に限って、警察に通知するということになっています。
一方、亡くなった患者の遺族が直接、「医療安全調査委員会」に調査してほしいと
依頼、つまり訴え出ることもできるとしています。
制度のしくみはもっと細かく記されていますので、ぜひ一度、
厚生労働省のホームページなどで確認していただきたいと思いますが、
この第3次試案に対しても、早速、医師側、患者・遺族側の双方から、
不満や批判の声が聞こえてきています。
医師側からは、なおも警察への通報のしくみが残っていることへの不満など。
遺族側からは、医療側に寄りすぎている制度ではないかなどの不満です。
どんな調査委員会を望んでいるか、という点で、
医療側と患者・遺族側では根本的に考えが大きく違っています。
その中で新しい制度を作るというのは本当に至難の業です。
ただ、これだけは願うのは、
医療事故の原因究明のための「第三者調査機関(委員会)」は作るべきだし、
作るからには納得できるものを作らなければならないということです。
この制度・しくみが私たちにとってとても重要なものであることを忘れてはいけません。
もし、自分の家族が、死亡する可能性がさほど大きくないと思われていた手術を受けたあと、
予期せぬ容態の急変で死亡してしまった・・・そういう事態に直面してしまった時、
私たちはどうするか、ということを思えば、その重要性がわかります。
何よりも、死に至った本当の原因が知りたいと思うのではないでしょうか。
病院・医師側には出来る限りの真摯な説明を求めることでしょう。
しかし、納得がいかない時、医学的見地からきちんと調べてくれる機関があれば頼りになります。
そんな信頼に足る制度・しくみを、みんなで知恵をふりしぼり、ぜひ創出を、と心から思います。
それから、やはり忘れてはならないのは、医療事故が起きた後のしくみも大切ですが、
医療事故自体をいかに少なくしてゆくか、という視点です。
結局ここでも大切なのは、医師不足の解消ではないでしょうか。
余裕のない診療体制の中でミスが増えるということは容易に想像がつきます。
医療事故に関する「調査委員会」新設の問題については、
まだまだこれから活発な議論が行なわれていくものだと思いますし、
私たちも大いに注目して、今後もACTIONなどで取り上げていきたいと思います。
Comment
暇人28号 さん
昨年のよみうりテレビの日曜昼のバラエティー番組で某コメンテーターが、「テレビは『画(え)』がないと報道しないが、反対に報道していないからと言って世間で何も起きていないと思わないほうがいい。」と発言していました。恐らく、テレビというのはいい映像が無ければ報道できないのでしょうね。反対に、これだけ世間が騒げばいい画が取れれば報道できるというわけです。確かに、一般市民も数年先の難解な法律を報道しても理解できないし、視聴率も稼げないわけです。
しかし、昨今の後期高齢者医療制度の報道を拝見していると、政府に対してマスコミが「もっとキチンと広報してくればこんなことにならなかった」と仰っているのに違和感を覚えます。確かに直前まで制度も決まっていませんでした。準備不足は否めません。しかし、病院にはポスターが貼ってありましたし広報はそれなりにしてきていると思いました。他にどんな広報の仕方があるのでしょうか。小冊子を配る?高齢者に配ってもそんなのを読みますか?読んでも理解できますか?
今の世の中は広報=テレビでの報道なのです。つまり、こんな大問題を全く報道してこなかったマスコミの責任は重大なのだと思いますがいかがでしょうか。まさに「『政府はもっと広報するべきだった』なんてマスコミが言わないで欲しい」と思っている人も非常に多いと思います。
こういう重大な内容は視聴者に分りやすいように早めに噛み砕いて報道してください。
2008年04月17日 14:12
べんべん さん
私もDr.Boo先生と同じ意見です。まさに書こうとしていたことそのままです。
私は総合病院の産婦人科に勤務する女性医師です。
4月12日に医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟のシンポジウムが開かれました。医療崩壊を防ぐための活動として歴史に残るシンポジウムでした。森田さん、ご存知でしたか?しばらく待ってみましたがどの大手新聞を見ても、ヘッドラインを見ても何にも触れられていませんね。まるでなかったことのよう。ほんと、報道規制でもとられているのですか。徹底していますね。どうして報道しないんですか。都合が悪いことでもあるんですか。
後期高齢者医療制度の話が重なります。テレビをつければ朝から晩まで同じ話題ばかり。私たち医療者からすれば「何を今さら」ですよ。高齢者医療制度について強行採決があったときもマスコミほとんどだんまりに近かったですよね。ましてや、今回の後期高齢者医療制度の内容が明らかになってきたとき、私たち医療者はブログや意見メールなどで「大変な制度だからこのままではいけない。」と盛んに働きかけていましたが全く無視でしたね。地方でも「反対」の意見が盛んに出ていましたがこれもほぼ無視でしたね。始まったら大混乱するなんて、始まる前から分かりきっていたことですよ。何も国民に周知徹底されていないのですし、現状なんて全く知りもしない人々が作り上げた制度ですから。
周知徹底されたら絶対に国民から大反対にあうことが明らかだから周知徹底されなかったのですよ。こういうふざけた制度をあぶりだすのがマスコミの仕事ではないのですか。
いい加減、何を報道することが大切か気づいてください。
最近、急に救急車の受け入れ先がない・最前線の医師が現場を去っている・何とかしなければ!などという報道が出てきていますが、このような状況になったのはあなたがたマスコミの責任が非常に重いということを十分に理解してください。
2008年04月16日 18:54
Dr.Boo さん
どたばた続きの後期高齢者医療制度。
大手メディアの報道は、百花繚乱、まさにブームです。
しかし、違和感があります。
この法案は、2年前に小泉政権で自民党の強行採決で決まったものです。このとき大手マスコミは、内容について全く無視していました。
その後も地方議会でこの制度についての反対議決が沢山出ていたし、医療系ブログや地域の医師たちは問題が大きい「姥捨て山法案」と訴えてきていました。このことも大手マスコミは無視続けていました。
この期に及んでこの報道のありかた。マスコミっていったい何なの?先が見えないの?と感じた医療関係者も多かったはずです。
一方で、自民党の国会議員といえば、「採決に賛成したけど、内容までは知らなかった。」と恥をさらす始末。こんな方たちが、国会議員をしていていいの?内容も知らないままに大切な議案を強行採決していたの?と思ってしまいます。突き詰めれば、このような国会議員に投票した国民の責任なのですけれど。結局、与党が議決した後、厚労省の官僚が皆に知られないうちに、官僚の意図したシステムを作っていたという構図です。今後、厚労省は姑息な修正を次々と送り出して時間を稼ぎ、嵐が通り過ぎるのを待つだけです。
同じことがまさに「医療安全調査委員会」でも起きようとしています。厚労省はいろいろな設定を曖昧にしたままで、議決後に官僚の意図したシステムを作ろうとしています。施行されたら大混乱、後の祭りの状態です。医療従事者はそれが分かっているから今の案に反対し、具体的なあり方を提言しているのです(しかし多くのパブリックコメントは官僚の意図することと違うため無視されていくのです)。医療従事者の中には厚労省が期待しているように騙されてくれる「現場から離れた偉い先生たち」もいますけれど、今まで医療従事者がどれくらい厚労省に騙され、現場の混乱を来しているかに目を向けなければいけません(例:医療の消費税問題など)。マスコミは、表面しか見ないから将来が想像できず、混乱を来してから初めて大騒ぎという構図です。
森田さん、いかがですか? マスコミの役割って何ですか? 真実を真実とする報道、偏向しない報道、将来を見据える報道を期待しています。
そういえば、4月12日に「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟のシンポジウム」というのがありました。しかし、大手マスコミには全く取り上げられていませんでした。これはどうしてなのでしょう? 報道規制が引かれているのですか? それとも医療危機はたいしたことではないとマスコミの方々は思われているのですか?
2008年04月16日 18:09
くまひげ さん
医療行為とはメスや薬を使って患者を傷つけることです。
ただ、医療行為で起こる害よりも得られる利の方が
相対的に多いため、その危険性を了解した上で
医者は医療行為を行っています。
完全に害の無い医療なんて有り得ません。
完全に安全な医療なんて有り得ません。
中には害が利を上回ってしまうことも有ります。
それを罰として、医者を処罰してしまうならば
そんな危険を冒す医者は居なくなってしまうと思いませんか?
2008年04月15日 11:43
いち勤務医 さん
時折ニュース番組などで字幕の間違いやアナウンサーの読み間違いがあります。大抵直後に謝罪と訂正が入りますので、報道機関の方は「望ましくないこと」と認識されていることでしょう。
しかし、なくなりません。なぜならこの「望ましくないこと」はニュース番組の重要な構成要素である「即時性」の裏返しとして避けられない合併症であるからです。
さて、ここで間違った報道をされた被害者が裁判をおこし、裁判所が被害者感情を配慮し、懲罰的な意味も込めて番組を担当したスタッフ全員を刑事罰に処し、さらに報道機関が倒産するほどの賠償金を命じたとします。その後にはどんな事態が生じるでしょうか?
生放送のニュース番組はなくなり、事前に録画したものを何週間もかけ厳重にチェックしたのちに放送されるようになるでしょう。リスクに見合わないからと自前の報道番組の制作をやめてしまう局もあるかもしれません。ミスは減るかもしれませんが、もはや報道機関とは名ばかりとなり、視聴者の知る権利も奪われてしまいます。
今、医療現場でおこっているのは、これに近い現象です。
医療事故が「望ましくないこと」であることには議論の余地はありません。ただ、本質的になくすことのできない「望ましくないこと」は、大きな目で見たときにそれを超える「利益」があるために存在しているのです。
それを厳罰化のみで排除しようとする試みは、結局より大きな「利益」までも奪うことになります。
「医療事故を少なくすること」を目的とする新制度のようですが「医療そのものが消滅したから医療事故もなくなった」という結果にならない事を祈っています。
2008年04月15日 01:48
old rider さん
ある内科医さんの意見を言い方を変えて言います。
紛糾している問題を医師側と遺族側の対立と捉えると本質を見誤ります。事故調査委員会は100%国民のためのものです。真に対立している利害関係の構図は「現在及び未来の患者VS遺族」です。医師側は現在及び未来の患者の代弁者に過ぎません。
医師側は「遺族側の責任追及要求に配慮しすぎると萎縮医療によって現在及び未来の患者の利益が損なわれる」と言っているのです。現に産科や救急ではそういう事態が起こっています。そこを踏まえないと事故調査委員会がどうあるべきかを見失います。
いや、本当の意図は医師の保身ではないのか?という疑念を持つ人もいると思いますが、仮にそうだとしても
「遺族側に配慮しすぎると、萎縮医療によって現在及び未来の患者の利益が損なわれる」
という事態が起こることに変わりはありません。
2008年04月12日 00:19
ある内科医 さん
もう一度繰り返しますが、皆この制度が「医療界に配慮」したものかどうかを問うているのではないのです。
そこが一番誤解され易く、危険なところです。
医療事故での「医療者の刑事免責」は、「国民の安全」を守る為に必要な事です。
それが医療事故の減少につながるのです。
他の国では当たり前に理解されている事だと思います。
まずこれをテレビ、新聞などのメディアが理解しなければ国民に伝わらないのです。
刑事免責ができなければ、国民に必要な医療が荒廃していくだけです。
医師などの人材は活躍の現場を臨床から研究や海外、及び他の職業へ粛々と足場を移すだけです。
局所の当事者を血祭りにあげても、全体として何もメリットがないのです。「荒廃」という多大なデメリットが残るだけです。
この情報がしっかり報道された上で理解できないような国民ならば、日本はもはや滅んでも仕方のない国だと思います。
しっかり、冷静に判断しないといけません。
これは決して足して2で割るような政治的処置で良いような事案ではありません。
2008年04月10日 23:45
暇人28号 さん
ちなみに、スウェーデンの医療事故に関する記述がありましたのでご紹介します。
http://plaza.rakuten.co.jp/gaksuzuki34/diary/200712300001/
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さらに、スウェーデンに医療訴訟は無い。通常医療でなされた過失で、患者側が納得できない場合は社会福祉省に苦情が申告される。そこで専門家により精査され、過失が明らかな場合は当事者に注意が及ぶとともに、国から一定額の賠償がされる。その額はまだ調べ中だが、重症合併症であっても,日本に比べてかなり少額のようだ。このような仕組みがあるから、こちらの医者は安心して仕事に集中できる。いろんな医者に日本の事情を話すと、悪夢だな,と一笑に付されてしまう。ちなみに、スウェーデンでは医療費が保障されているので,重症後遺症をについても、その後の医療費、社会保障費は保障され続けることになるわけだ。
こういう仕組みを国が作成し、国民が受容しているのは誠に賢いと思う。訴訟社会を続け、医療の不確実性、人体の不完全さの責任を医者におわせ続ければ、日本、アメリカ、韓国のように,最も大事な急性期病院から医者がいなくなる事態になるのは明白だ。それを予想したかのように、社会制度設計をしているところが,本当に賢い政府だと思う。それを受容している国民の民度も高い。根底にはプロの仕事はプロに任せるべき、という哲学が浸透しているようだ。さらに、非常に忍耐強い。患者をみていると、うまくいかない結果が出たとしても,「あなたは頑張ってくれた、ありがとう」という人がかなり多い。人生観、宗教観の違いだけでは片付けられない気がする。プロに対する信頼とともに他人に対しての思いやり、他者をいたわる気持ちが,多くの人々にあるのだと思う。
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ここまでになるには相当の時間が必要でしょうね。マスコミの皆さんが徹底的に「医者=悪」という不信感を国民の皆さんに刷り込みましたから。恐らく、徹底的に医療崩壊が進まないと事態は改善しないでしょう。そして、その時になってしまったら以前のような状況に回復できないのは容易に想像できます(今の時点で既に以前の状況に戻すことは出来ないでしょうけど)。
2008年04月08日 13:10
akagama さん
>>予期せぬ容態の急変で死亡してしまった・・・そういう事態に直面してしまった時、
>>私たちはどうするか、ということを思えば、その重要性がわかります。
>>何よりも、死に至った本当の原因が知りたいと思うのではないでしょうか。
>予期せぬ容態の急変で死亡した
この時点で、もう答えは出ています。
遺族の思いは、医者がへまをしたから死んだ。
これ以外の結論では、絶対遺族は納得しません。
みんな、手術をしたらよくなると思ってるから。
とうぜん予見される合併症がおきても、手術中機械が故障して、死亡しても、医者のせいとしか考えていませんから。
死に至った本当の原因がわかっても、遺族が気に入らなかったらそれは、遺族にとって、死に至った本当の原因ではないのです。
割り箸訴訟をみればわかります。
つらいです。
2008年04月08日 10:40
小児科医 さん
この案では、医療者側は納得できません。ことの本質は医療者が厚生労働省・警察・裁判所を信用していないことです。信用していないから、曖昧な文面に納得できない。“性善説“・”謙抑的な運用“などの曖昧な言葉はいりません。”重大な過失“を誰がみてもわかるように定義してもらう以外に納得できるものにはならないと思います。また、罰する側に責任がないことも納得できません。もし罰する側に責任が生ずれば曖昧な言葉はなくなるはずです。
2008年04月08日 09:16
Dr.Boo さん
この委員会の決定的な問題点は、医療安全が目的といいながら、医療安全の専門家が一人も存在しないことです。このような制度に対してWHOのガイドラインがあります。医療安全の専門家がWHOのガイドラインを知らないわけがありませんし、医療安全が目的なら何故WHOのガイドラインを守らないかが不明です。厚労省は意図的にガイドラインを隠して議論を進めています。医療安全をうたうなら、少なくともWHOのガイドラインを尊守しなければなりません。
しかし、ここまでガイドラインを無視していると言うことは、最初から目的が違うからです。すなわち、座長に刑法学者を持ってきていること、現在の案の内容を考えれば、医療者の刑事責任を如何に決めるかが最初から主題になっていることは明らかです。医療者に罰を与えれば医療事故が減ると考えるのは、医療安全の流から見れば、あまりに時代遅れです。また、「医療安全調査委員会」という名前に変えたのは、言葉の遊びにすぎません(例:「ホワイトカラーエグゼプション」→「家族だんらん法」、「後期高齢者医療制度」→「長寿医療制度」)。このような制度を作るのだったら正直に堂々と「医療事故調査処罰委員会」という名前にして、世の中の評価を問うべきです。
ちなみに米国の医療安全を推進しているJCAHO(米国医療施設合同認定機構)の「患者安全のシステムを創る」という本の中にも、『「誰のせいで事故が起きたか」という問いは、事故の原因究明に役立たない。有害事象の予防に重要なのは、処罰ではなく、事故から学ぶことを長期にわたって有効な改善策を探ることなのである。これを実行していくのは容易ではない。医療界は長年にわたり責任を追及する体質がしみこんでいるからである。』と書かれています。こちらも医療安全の専門家なら皆知っている内容です。
以上のように厚労省とこの委員会は、WHOや米国JCAHOが練り上げてきた医療安全対策の根幹を一切無視しています。
大切なのは過去を振り返って個人を処罰することではなく、原因を究明して未来の安全性を高めることです。
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2005年、WHOは、「情報から行動へ」と題して、WHO DRAFT GUIDELINES FOR ADVERSE EVENT REPORTING AND LEARNING SYSTEMS(以下、ガイドラインと略す)という報告を出した。医療事故報告と、それによる学習を確立し、患者をより安全にするために、このガイドラインが作られた。
1,Non-punitive
報告制度が上手く機能するための最も重要な条件は、制度が懲罰を与えるものであってはならないということである。即ち、報告者も、他の関与している医療従事者も、報告の結果罰せられてはならない。世論は、医療事故の責任を個人に帰し、「被告人」を罰する方向に圧力をかけるものなので、この条件を実現させるのは最も難しい。報告の個別内容を、秘匿することが、最も良い解決方法である。
2,Confidential
患者と報告者の個別情報は、第三者には秘匿されねばならない。組織レベルでは、訴訟に利用しうる情報を出すべきではない。
3,Independent
報告制度は、懲罰を行なう権力を持ついかなる公的機関からも、また調査結果に利害関係を有する組織からも、独立していなければならない。政府機関のなかでは、報告を受ける組織と、処分を下す組織を峻別することは難しいかもしれないが、報告制度への信頼性を確保するためには、それは必須のことだ。
4,Expert analysis
医療事故が起きた臨床的な状況をよく理解し、さらにその根底にあるシステムの問題を把握する能力のある、熟練研究者によって、報告は解析される必要がある。政府が運営する報告制度が陥りやすい最大の失敗は、報告を強制するが、それらを解析する人的・物的資源を準備しないことである。専門家の知識・技術が、どのような報告制度であっても、最大の本質的な条件である。
5,Credible
組織が独立し、さらに十分な専門家が解析に従事することが、この組織の発する改善勧告が受け入れられ、実効性を持つために必要である。
6,Timely
報告は、迅速に解析され、改善勧告がそれを必要とする医療現場に早急に送付されなければならない。
7,System-oriented
調査組織が発する改善勧告は、医療従事者個人の行為よりも、医療システム・医療の手技過程・医療機器などに焦点を当てるべきである。これは、一見とんでもない個人的な過誤であっても、医療システムの欠陥によって起きるという考えに基いている。このシステムの欠陥が改善されなければ、別な時に、別な人間によって、同じ問題が再発するのだ。
8,Responsive
調査組織は、広範な医療制度の変更を求める改善勧告を効果的に発する必要がある。勧告された医療機関は、その改善勧告に従わなければならない。
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2008年04月07日 19:49
暇人28号 さん
この事故調は話になりません。
某ブログに寄せられていた弁護士の方のコメントです。的を得ています。
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太いムチ[刑事裁判]と、細いムチ[医療安全調査委員会]に喩えると、今まで太いムチしかなかったので、細いムチを作りました、よかったら使ってください。それに対して、「私は太いムチのほうが好みです」という人も居れば、「両方使わせてもらいます」という人も居るでしょう。
細いムチを作った目的は、太いムチを使わせないことにあるのですから、太いムチをへし折ってしまう(実体法的に業務上過失致死傷罪を廃止する)か、それが難しければせめて、普段は使えないように鍵を掛けてしまっておく(訴訟法的に刑事捜査・起訴を制限する)のでなければ、意味がありません。
以前にどなたか医師の方が、この制度を評して「ムチで打つのを軽くしてくれ というようなものだ」とおっしゃいましたが、「軽くする」どころの騒ぎではない。太いムチがあるところへ、わざわざ細いムチを差し出して、両方で私を打ってくださいと言う、そういう制度を自ら希望する医師たちって、マ ゾ としか、言いようがないのではありませんか。
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今回の試案の趣旨は以下の通りです。
「事故調を作ってまずそこで医療事故に関して議論をして委員会の結論を出します。ただし、原告が刑事告訴や民事訴訟を起こすか否かは事故調の結論を見て原告自身が決めることです。何も妨げるものはありません。また、裁判においても、事故調の結論は意見として聞きますが、最終的に判断するのは裁判官です。」
私自身も訴訟になりかけた際に当事者になりましたし、実際に裁判になった事案に関して関わりましたが、そこで感じたことは、「被害者」と称する方々が欲しいのは「医者が悪い」という結論だけです。それ以外は全て間違っている、と思ってしまいます。特に事故調に上げられる事案などは医療機関の説明に納得しなかったものばかりですから、恐らく「医者が悪い」とならない限り原告は納得しないでしょう。となれば、たとえ事故調で医療機関側に問題が無かったとしても、「医者同士でかばいあっているから、今度は司法で医者が悪いと認定してもらおう。」として告訴されるでしょう。
こんな制度は全くもってナンセンスです。事故調を作るなら、原告の告訴や起訴を制限しない限り、今まで以上に医師側にとって苦痛が増えるだけです。医療崩壊が進行することは容易に想像できます。
2008年04月07日 15:05
消化器内科中堅どころ さん
医療者Aさんへ。
今回審議されている安全調査委員会は「医療関係者の責任追及を目的としたものではない」とされており、かばい合う意味がないと思っています。また試案の中にも国民の信頼を得るための人選については記載されています。
一般にはあまり知られていませんが、症例検討はカンファレンスとして日常に行われています。更に、解剖を元にしたCPCといった症例検討、学会や医学誌への症例報告など、医療関係者は、安全調査委員会の活動に通じるトレーニングは日々行っていることを知ってもらう必要があります。
こうした議論では、「もしかしたら○○症候群のような特別な素因があったのでは」とか「ここであの検査をしたら役立っていたかも」と些細なことや稀なことまで吟味します。完璧な診療と思われる事例であっても、最後の考察として「○○すればよかったかもしれない」と言った、後から見れば・もしかしたら、というような些末であっても何らかの改善策を提示するのが普通です。この病気になったら仕方ない、あきらめましょう、とは誰も言わないのです。
この仕組みを壊したのが、訴訟、特に刑事立件だと思います。「○○すればよかったかもしれない」といった理想的な話を「致命的なミス」だとすり替えたのです。
刑事訴訟とは切り離し、安全調査委員会が「医療死亡事故の原因究明・再発防止を行い、医療の安全の確保を目的」に専念する制度を構築することが、かばい合いが入る余地をなくし、報告書の制度を高め、信頼を勝ち得るのではないかと思います。
委員に対する刑事立件は考えていませんでした。故意に虚偽の報告をしたというのであれば、もともと公務員や公文書に関わる法律などで規制された範囲で対応できると思います。
2008年04月07日 00:47
医療者A さん
>>消化器内科中堅どころ さん
第三次試案には、改善すべきところがたくさんありますが、一番にあげたい大きな欠点は、この試案では警察・検察の独断専行を防ぐことができない所だと思います。
先生方の懸念はわかります。では、どうやって遺族側の懸念。すなわち委員会が、しっかりと医学的に吟味し、かばいあわない体制で調査することを担保できるかが問題だと思います。
マスコミの過去の報道の影響もあるでしょうが、一般国民は医療者は同じ村の中で、ひどい医師がいてもかばいあう閉鎖的な社会だと考えられています。この問題に関して、どのような国民へのメッセージを先生なら制度構築上盛り込みますか?委員会の先生への刑事処分ですか?なにかがバランス上必要と思いますが・・・
2008年04月06日 17:33
消化器内科中堅どころ さん
森田さんお疲れ様です。
第三次試案では評価できるところはあると思うのですが、肝心の刑事事件に関しては改善されていません。
> ただし、調査委員会が「警察に知らせる」というルートは残しています。
> 医師側からは、なおも警察への通報のしくみが残っていることへの不満など。
とされていますが、誤解されると困るので書きますと、医師側(正確には看護師なども含めた医療関係者側)が不満に思っているのは、調査委員会から警察へのルートではありません。
試案では「医療事故の特性にかんがみ、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に限定する。」とされており、「重大な過失」の定義が曖昧という大問題はありますが、調査委員会から警察へ通報する事についてそんなに問題となっていないと思います。
しかし試案によれば、遺族から告訴があった場合は「警察は捜査に着手することになる」とし、この委員会の調査結果などを「踏まえて対応することが考えられる」、という記載だけです。何の法的拘束力もなく「考えられる」だけです。
『まず安全委員会に調査を依頼し、その結果をふまえて起訴を行うか検討する』、といったような法整備をしなければ、警察が委員会の調査結果が出るまで待つことは考えられません。もし法的裏付けなしに警察が起訴を待てば、今度は怠慢だと非難されるでしょう。
この点では第三次試案は第二次試案とほとんど変わっておらず、つまり、現在の刑事立件ルートはまるまる残ったままです。
僕たち医療関係者は福島県立大野病院の事件では大きな衝撃を受けました。
亡くなられた患者さんやご遺族はとても気の毒であり、今後同様な事が起きないように対策を練る必要があります。医療は極論すればそうした症例の積み重ねで成り立っており、症例を吟味することは医療の根源です。しかしそうした報告書をきっかけに医療に精通していない警察・検察から刑事立件されました。
そしてこの事件は多くの医師にとって刑事事件となるとは考えにくいものでした。医療は必然的に生命を扱うため大きな結果を伴いますが、死という悪い結果があれば罪人扱いされる事に衝撃を受けました。医学的な調査、評価を受け、専門的判断されていれば(これは第三次試案で言う安全調査委員会が担える分野だと思います)このような警察・検察の独断専行はなかったのではないかと思います。
ましてやまだ公判も始まっていなかった時期に、福島県警はこの事件に対して「本部長賞状」として表彰しています。同時に表彰されている事件は「強盗」「婦女暴行」「放火」「詐欺」などであり、警察が大野病院事件をどう考えているかが伺えます。
おそらく今回の第三次試案が実行されても、福島県立大野病院のような起訴は防げないでしょう。遺族が警察に相談しに行ったら、警察は遺族に「告訴したら動けるんだけど」と耳打ちすればいいだけの話です。
大事な家族を亡くした遺族の持って行き場のない悲しみ・憤りには深く同情します。なぜ亡くなったのか知りたいという要望には十分配慮しなくてはいけません。またそのために遺族から安全調査委員会へ調査委依頼ができるのだと思います。しかし、遺族感情を利用した警察・検察の独走は見過ごすことができません。
第三次試案には、改善すべきところがたくさんありますが、一番にあげたい大きな欠点は、この試案では警察・検察の独断専行を防ぐことができない所だと思います。
2008年04月06日 09:09
離島僻地勤務医 さん
医療事故調査委員会は時代の流れから必要であることは理解できます。しかし、この委員会は民事・刑事訴訟の証拠として利用されるとのことであり、現在、厚労省が検討している調査委員会が設立すると、当事者には黙秘権はなくなり、医療者サイドから言わせれば問題です。日本には良きサマリア人の法はありません。良かれと思ってしたことが、結果が悪ければ罰せられます。航空機の中で、「お医者様はいませんか」と言われ正直にのこのこ出て行って、処置をし結果が悪ければ訴えられ、犯罪者呼ばわりされ、挙げ句に着陸させようものなら航空会社から損害賠償を請求されます。正直者が馬鹿を見る時代なのです。日本ではマスコミをはじめ、国民感情から、再発防止ではなく下手人探し、下手人の打ち首獄門を期待しているところがあります。悪意ある、もしくは重過失での死亡例では罰せられるべきであると思いますが、その線引きをしっかりしなければ、医療崩壊は加速度的に増すでしょう。
2008年04月06日 08:29
北の小児科医 さん
「医師側からは、なおも警察への通報のしくみが残っていることへの不満など。」とかかれると、まるで医師は悪いことをしても見逃せと主張しているようにみえるので、反論しておきます。故意で誤った治療をする医師を罰することにはなんの抵抗もありません。どちらかというと大いにやってほしいです。なぜなら、自分がそういう医師の治療を受けたらたまらないからです。あたりまえですが、医師も、いつでも患者になりうるのです。
なぜ警察への通報が不満かというと、日本の警察・検察・裁判官が、医師が悪いことをしたのかどうか判断する能力がないからです。現在進行している福島の産婦人科逮捕事件で明るみにでてしまいました。ぜひ取材してください。
そもそも、医師法21条で治療に関連した死亡をとどけることになっていると当たり前のように書いてありますが、実はそんな法律はありません。正確には、異常死の定義がいまのところ法律できまっていません。それでガイドラインを持ち出しているとおもいますが、日本法医学会という、たかだか1500人程度の、普段、患者さんの治療に直接かかわらない医師の団体が、こんな目安がいいのでは?っていっている程度のもので、ガイドラインは別に法律でもなんでもないんです。標準的な治療を行っていて死亡した場合は、多くの医師は病死と考えますので届出はしません。前述の福島の事件では担当医が病死だと判断したので届出なかっただけなのに、警察・検察・裁判官が法律にのっとるわけでなく、独自の判断により医師法21条違反ということで裁判がすすんでいます。このあたりも医師側から信頼がえられない要因だと思います。
医療が崩壊したとき、どんな事態になるか、一般の方にはなかなか想像できないのかもしれません。われわれ医師には医療崩壊が地獄絵図のように思い描けるので積極的に書きこみさせていただいています。貴局の報道に期待しています。
2008年04月06日 01:05
佐久間祐二 さん
はじめまして、長野県上田市に住む佐久間と言います。
いつも日本テレビを楽しく拝見させて戴いております。
特集をしている「ニュースZERO、医療破壊」を興味深く拝見させて戴いています。私の住む上田周辺の医療も医師不足から、長野病院の医師不足の問題、上田市産院の問題、様々な問題を抱えています。その中で私の所属する上田青年会議所地域力向上委員会では今年一年地域医療を考えるを議題に活動しています。
ニュースZEROの放送を見て委員会一同感激し励みにしています。「私達住民が今出来る事は何か」を考え、全国的な医師不足からすぐに医師確保は出来ないが、地域住民の意識を変えたい。今の医療の現状を正確に伝え、医療に対する変な先入観を無くしたい、と活動しています。それと医師不足の中その現場から逃げない医師たちの頑張りも伝えたいと思っています。
これからも私達国民に感動する報道を送り続けて下さい。
2008年04月05日 21:32
ある内科医 さん
一番大切な事は医療事故の「再発防止」であり、
また、医療崩壊の防止です。
医師が声を上げるといつも「自分達の利益を守る為だろう」と
色眼鏡で見られます。
その考えが直に医療崩壊に繋がっている現状があります。
この法案の出来如何では医療崩壊に最期の一撃を加えることになると
肝に銘じてよくよく深くまで影響を理解しないといけません。
決して政治的に「足して2で割る」ようなものにしてはいけません。
2008年04月05日 14:56
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PROFILE
報道局社会部デスク。司法担当キャップ、「真相報道バンキシャ!」プロデューサーなどを経て現職。