「省エネ」に磨きをかける
コラム
御園生誠の『キーテクノロジー』
風力・太陽光は
期待通りに働くか?
代替エネルギーのポテンシャルを考える際に考慮しなければならないことは、時間というファクター、つまり時間軸である。50年先、100年先で考えればポテンシャルがないとはいえないが、10年単位で考えた場合、20年後に全体のエネルギー量の10%が自然エネルギーに置き換わる可能性はおそらくないだろう。筋のよい自然エネルギーの技術開発を進めることや普及の努力は、どちらも必要だし重要なことだが、今世紀前半で全体に占める割合は大きなものにはならないと思っている。経済性や技術的な問題においても、化石エネルギーの代替として考えるには、かなりハードルが高く、自然エネルギーの量が飛躍的に増えるとは考えにくい。今は緩やかな普及と、精力的な基盤技術の開発に取り組むべきである。
経済発展のためには安定した電力供給が必要になってくる。しかし、在来型バイオマスは発電効率が悪く、電力の安定供給の点からは、経済効率からいっても大変使いづらいエネルギー源である。一方のバイオエタノールなどの非在来型バイオマスは、長期的に取り組むべき研究開発課題ではあるが、現状の社会システムで急速に普及させることは困難だろう。穀物をすべてバイオエタノールに転換しても現在の全消費エネルギーの5%以下にしかならないこと、セルロースからバイオエタノールを製造するプロセスの技術的経済的課題の解決に、まだ見通しが立っていないことを考慮すべきである。
日本の場合、新エネルギーのカテゴリーで最も大きな部分を占めるのは「その他」という項目であり、具体的には熱利用だ。いちばん貢献度が高いのは太陽や風力ではなく、パルプ産業の廃液など、産業廃棄物の燃焼熱の利用である。
一方、風力エネルギーは自然エネルギーのなかでは有望だ。確かに、枯渇することがなく、総量としてもかなり期待できる。太陽光発電と比較すると面積あたりの発電量が大きいことがメリットだが、それでも、化石燃料と比べるとエネルギー密度はかなり低い。大規模な発電設備が必要なうえ、その設備のあるところから、消費地へ電気を運ばなければならないという輸送の問題が相当大きくなる。かつ、メンテナンスも相当大変になるだろう。また、規模が大きくなれば、自然環境や生態系への影響も大きくなるので、そのアセスメントが必要になるだろう。風車のブレードなど材料の強度や材質など技術的問題も増えてくると思われる。
横浜市長 中田宏氏(08/12/25) NEW |
財団法人日本総合研究所会長 寺島実郎氏(08/11/10) |
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世界資源研究所(WRI)所長 ジョナサン・ラッシュ氏(08/10/23) |
東京大学教授 沖大幹氏(08/10/06) |
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京都大学名誉教授 西山孝氏(08/09/25) |
リソーシズ・フォー・ザ・フューチャー ビリー・パイザー氏(08/09/11) |
風力・太陽光は
期待通りに働くか?
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