2つ目の道は、正社員の既得権にメスを入れ、正規と非正規の同一労働同一賃金を実現、利益もリスクも両者で分かち合う道だ。人材市場の流動化をめざす労働ビッグバンがまさにこの道に当たる。この場合、年齢という軸は消えてなくなるため、フリーターも中高年も弾かれる理由はなくなり、真の再チャレンジが可能となる。
イメージとしては、年俸制に基づいて柔軟に処遇可能なプロ野球選手が近い。大金を支払われるルーキーがいる一方で、戦力外とされたベテランにも機会が与えられ再生可能な仕組みだ。年功序列のままなら、高コストのベテランにチャンスが与えられることはない。
また勤続年数が重要な処遇基準ではなくなるから、無理して“総合職は全員男”で固める必要もなくなる。企業が利用可能な若手労働者のパイは2倍に増えるわけだから、移民だ何だと騒ぐ前に、まずは人事制度の見直しを進めるべきだ。
さらにいえば、脱年功序列は出生率回復の鍵でもある。フランス、北欧といった国が出生率の上昇に転じた理由は、女性の雇用支援により世帯当たりの所得を維持したことが大きい。人材市場の流動化とは、成長と少子化対策という一石二鳥の効果をもっているわけだ。
もちろん、正社員の長期雇用に基づく企業価値は一定程度減じられるだろう。だが、それがいわれるほどに重要なことだろうか? モノづくりの代名詞だった大手電機は、水平分業型の台湾企業に利益率で遠く及ばない。国全体でみても、過去10年の成長率では先進国平均にすら及んでいない。原因はIT化やグローバル化の進展により、蓄積よりも革新が求められているためだ。
また、人材流動化による帰属意識の低下を危惧する声もあるが、それは一面的な見方だ。“帰属意識”とは裏を返せば会社へのぶら下がりであり、前例主義、指示待ち人間といったキーワードがこれに連なる。工業化の道を駆け上がっていた40年前なら、滅私奉公だけでも国は維持できたろう。だがポスト工業化社会においては、1億総出で坂道を転がり落ちていくようなものだ。
一方で、流動化とは一定のリスクを背負わせることで挑戦や自己革新を促すことであり、すべてのイノベーションの根源でもある。製造業の脱コモディティ化や、日本企業が苦手とするサービス分野での成長を促すには、人材流動化こそ採るべき道である。どちらにせよ上記のようなメリット、デメリットは個別の企業が経営判断すればよいことで、少なくとも法で社会全体を規制する時代は終わったと見るべきだろう。
最後に、とても重要な点を指摘しておく。頭の固い人間は従来の右左という軸でしか物事を考えられないものだが、自民党であれ共産党であれ、1つ目の道を望む人間はすべからく保守主義者であり、格差バンザイ主義者だ。歴史上いかなる“革命”を振り返っても、真のリベラルとは構造的格差解消をめざすものであり、2番目の道であることはいうまでもない。
「公平で格差のない社会を」といって労働規制緩和に反対するトンチンカンもいるが、頭を冷やせといいたい。ワーキングプア、男女賃金格差等、現状の格差を生んでいるのは日本型雇用自身であり、そこにメスを入れない改革などありえない。自治労なしには成り立たない社民党はともかく、共産党や“自称左派論者”たちが改革の足を引っ張っている現状は理解に苦しむ。
従来、保守・革新といった線引きは政治スタンスに沿って引かれていた。これからは既得権に対する姿勢で引き直されるべきだろう。
夢の自動車「燃料電池車」が一般家庭に普及するのはもうしばらく先になるようだが、「燃料電池」自体は家庭に導入される日が近づいてきている。いよいよ「燃料電池時代」の幕が開こうとしているのだ。
質の高い眠りを得るためには、どのような寝具を選ぶのがよいのでしょうか。そのポイントを伺いました。
大型トラックが1台、1時間アイドリングした場合と、給電システムを活用した場合とのメリットは歴然だった。なんと二酸化炭素の削減効果が98%もあったのである。