除夜の鐘に導かれて二〇〇九年が明けた。あちこちで「おめでとう」のあいさつが交わされ、郵便受けには新たな年への期待を込めた年賀状が届く。
それにしても、考えさせられる年越しだった。世界的な金融危機に伴う企業の人員削減で職を失った人たちや、資金繰りに苦しむ中小企業経営者らの不安は尽きない。
年が改まり、厳しく先行きの見通せない状況をどう好転できるか。容易でないことは確かだが、手をこまねいてはいられない。教訓を踏まえ、いかに反転攻勢をかけるかが問われる。
マネーゲーム化した「虚」の経済のもろさや、安全網の乏しさ。後を絶たない食品偽装が置き忘れた信用という商売の精神。党利党略で、迅速かつ的確に対応できない政治。浮き彫りになった「よって立つべき所は何か」を肝に銘じて再生を図ることが肝要だ。
鍵を握るのは、私たち自身でもある。やがて来る衆院選では甘い言葉に惑わされず、マニフェスト(政権公約)をしっかり吟味して状況を判断し、一票を行使することで政治に物申していかなければならない。足元の地域活性化についても、分権による地方への十分な権限や税財源の移譲とともに、住民の参加意識に成否がかかる。
今年は丑(うし)年。力を蓄え、牛のような確かな歩みで活路を開く年にしたい。