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北朝鮮、新年の辞で韓国を非難

米国には「非核化実現」の融和的メッセージ

 北朝鮮は、『労働新聞』『朝鮮人民軍』『青年前衛』各紙の1日付紙面に共同社説という形で新年の辞を発表し、「(李明博〈イ・ミョンバク〉政権は)6・15と10・4宣言を全面否定してファッショ独裁時代をよみがえらせようとし、北南対決で狂ったように暴れる執権勢力だ。南朝鮮の人民は、保守当局のファッショ統治を一掃してしまうための闘争の炎をさらに激しく燃え上がらせなければならない」と語った。

 北朝鮮は1995年以降、共同社説を通じ、金正日(キム・ジョンイル)総書記の新年における政策の方向性を明らかにしてきた。この共同社説で韓国の住民に反政府闘争をそそのかすのは、極めて異例のことだ。統一研究院は、「“南南対立”をさらにあおろうという意図があるものとみられる」と語った。

 この日の共同社説で北朝鮮は、韓国政府に対しては「6・15宣言および10・4宣言を誠実に履行しなければならない」と激しい言葉を書き連ねたが、一方米国に向けては融和的なメッセージを発信した。主張の内容は、「朝鮮半島の非核化を実現し東北アジアの平和を守るための対外政策の正当性が誇示されている。われわれと友好的に接する国々との関係を発展させるだろう」というものだった。共同社説に「非核化」という用語が登場したのは、今回が初めてだ。

 東国大のキム・ヨンヒョン教授は「核問題に関し、(米国の)オバマ次期政権と積極的に交渉に臨むつもりだというメッセージ」と語った。在韓米軍の撤収や韓米軍事訓練の中断などに全く言及していないのも、これと同じ流れに属するという観測だ。また韓国との関係でも、「韓国を強く非難したものの“軍事的打撃”などに触れなかったのは、関係改善を注意深く模索しようという態度」(イ・ジョウォン中央大教授)だという分析が出ている。

 世界的な金融危機の中、「経済再生」を軍事・思想問題より優先して記述したことも特徴的だ。しかし、経済再生の手法は改革・開放ではなく、住民の労働力を大規模に動員する1950年代の「千里馬運動」を強調した。また共同社説は、千里馬運動が始まった千里馬製鋼連合企業所を金総書記が昨年12月24日に視察したことの意味を強調し、「新たな革命的大高潮」という表現を繰り返した。「千里馬」という単度も11回用いられた。韓国政府当局者は、「中国経済が困難に見舞われ韓国の経済協力も期待し難い状況において、“第二の千里馬運動”を表に出したのは、北朝鮮が困難を自ら認めたことになる。しかし労働力を搾り出すやり方は、現在では成功は難しい」と語った。

 共同社説には、金総書記の健在ぶりを誇示し体制を引き締めることを意図した内容も含まれている。「将軍様(金正日総書記)は無限大の活力をお持ちで…全国至るところで伝説的な強行軍」と記したほか、「人民は首領を絶対的に信頼」「思想的一色化」「異色の生活風潮を許さず」「一心団結」などの表現がみられた。

安勇炫(アン・ヨンヒョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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