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9歳少女、入院先に空爆 父「娘は口がきけなくなった」

2009年1月3日1時0分

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写真空爆のショックで口がきけなくなったゼナさん=カイロ、田井中写す

 【カイロ=田井中雅人】イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの大規模空爆に巻き込まれた負傷者らが、隣国エジプトの病院に次々と運び込まれている。被害者は、身体だけでなく、精神的にも深く傷ついている。

 ガザ境界から400キロ余り離れたカイロ市内の国立ナセル医療施設。毛布にくるまっていたゼナ・ナスララさん(9)は焦点の定まらない目つきで宙を見つめていた。「空爆のショックで口がきけなくなってしまった」と付き添いの父エザトさん(31)。

 胃腸に持病があるゼナさんは、ガザの病院に入院していた。12月27日、イスラエル軍は病院そばのモスクを空爆。爆風で、病室の窓ガラスが吹き飛んだ。「病院にいても巻き込まれる。ガザ住民の人間の尊厳は認められないのか」とエザトさん。

 右腕と左足にギプスをつけてぐったり寝込むアンワル・アイドさん(35)は27日午前、ガザ北部にある勤め先の不動産会社の入り口にいた。イスラエル軍の戦闘機が近くに3発の爆弾を投下。アイドさんは爆風で吹き飛ばされた。一緒にいた同僚2人は即死した。イスラム過激派ハマスの治安施設が隣にあったが、自分はハマスとは何の関係もない。「イスラエルは、なぜ罪のない市民を次々と巻き込むのか。こうしている間にも、次々と殺されている」。妻子をガザに残したままで、不安にさいなまれている。

 イスラエルに境界封鎖されて「逃げ場」のないガザ住民への猛爆は続いている。イスラエルと接していない唯一の境界がエジプトと結ぶラファ検問所。アラブ諸国は「検問所の全面開放を求めているが、エジプトのムバラク大統領は「パレスチナ自治政府のアッバス議長がガザ地区を掌握しない限り、全面開放しない」としている。

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