【ランカスター(米ペンシルベニア州)=勝田敏彦】03年2月、米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル・コロンビアが帰還中の高度約6万メートルで空中分解し、乗組員7人全員が死亡した事故で、NASAの調査委員会は30日、事故時の機内の状況の詳細などをまとめた最新の報告書を公表した。
報告書によると、地上との通信が途切れた直後、機体は制御を失って回転を始めた。飛行士は異常に気づいたものの、室内の空気が失われる「減圧」が始まるまで約40秒しかなく、そのまま意識を失ったか死亡したという。
飛行士の1人はヘルメットをかぶっておらず、3人は手袋をはめていなかった。報告書は、飛行服が気密を保てず呼吸のために役に立たなかったことや、座席のベルトやヘルメットの設計が適切でなく、機体の急速な回転で飛行士が頭や首に致命傷を負ったと指摘。シャトル後継の宇宙船のため、約30項目の改善を勧告した。