手が震えたり、体の動きが不自由になったりする難病、パーキンソン病の診断に、心臓の神経密度の低下を調べる検査が使える可能性がある。国立病院機構宇多野病院(京都市)と京都大学の研究グループが明らかにした。早期診断や新しい治療法の研究に結びつきそうだ。
パーキンソン病患者は、国内で約10万人以上。脳の特定部分で神経細胞が減り、神経伝達物質が作れなくなって、体の動きが不自由になる。脳の画像検査や血液検査には異常が出ず、症状が進むまで診断が難しい。薬などで症状を抑えることはできるが、客観的な検査方法の確立や、発症前の診断、治療法の研究が課題となっていた。
グループは、パーキンソン病の疑いがある400人に特殊な放射線同位元素を静脈注射し、心臓の神経密度を画像化した。その結果、心臓の神経が減っていた患者の9割以上がパーキンソン病だった。この検査方法と、症状などによるこれまでの基準による診断結果を比べると、86%の患者で診断が一致したという。
グループの澤田秀幸・宇多野病院臨床研究部長は「発症前の早期診断ができるようになれば、神経細胞の減少を抑え、病気の発症を未然に防ぐ治療法開発の研究にもつながる」としている。