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不況で増加する高学歴就職難民

金融業界をはじめ、新規採用減

 2月に仁荷大高分子工学科を卒業したイ・ウチャンさん(27)は、国際コミュニケーション英語能力テスト(TOEIC)の成績が955点で、サークル会長の経歴もあるが、いまだ求職中の身だ。「今年初め、大学院進学か就職かで悩んだが、李明博(イ・ミョンバク)政権になれば就職口が増えると思い就職を選んだのに…」

 イさんはこれまで25社に履歴書を出したが、書類審査をパスしたのは6社にすぎない。それでも周囲の人々に比べると良いほうだという。

 イさんと一緒に卒業した同じ学科の同期生は44人。学科の特性上、大学院への進学が多いが、毎年10人前後は就職していた。だが今年の卒業生らを取材した結果、就職できたのは例年の半分程度にすぎなかった。イさんは「連絡が途絶えた友人もいる」と話した。

◆途絶えてしまった中産層への道

 中産層に加わるための第一関門である大卒者の就職市場が狭き門になりつつある。企業が新規雇用を減らしている上に、非正規職の採用が増え、平均的な年俸が受け取れる正社員の採用が減ったからだ。

 梨花女子大経済学科を卒業したイさん(25)は完ぺきな「スペック(単位資格証などの就職条件)」の持ち主だ。TOEICは980点で、外資系金融機関(メリルリンチ)で6カ月間インターン働いた経験もある。今年8月に卒業したイさんは、韓国企業50社に履歴書を提出したが、パスしたのは1カ所だけだった。

 高麗大経営学科を卒業予定のカンさん(24)は、成績が4.5点満点中3.99点でTOEICは965点。しかしまだ書類選考を一度もパスしていない。

 「延世大、梨花女大の学生12人からなる就職準備サークルの場合、書類選考でパスするのは多くて3人で、一人もいないケースも多い」

 特に金融機関の就職市場は世界的な金融危機の直撃を受けた。ソウル大経営学科のAさんは、昨年インターンとして働いていた外資系金融機関から採用の話があった。「来年2月から出勤するようにと言われていたが、数日前に『申し訳ないが…』と取り消しの通知が来た」。Aさんはまだ就職先が決まっていない。

 統計庁が発表した10月の就職者数の増加幅は(前年同月比)は9万7000人と、3年8カ月ぶりの最低値を記録した。これは政府目標値(20万人)の半数の水準だ。

◆親世代を脅かす若年失業 

 若者の失業は親世代をも脅かしている。大邱在住のチェさん(49)は「双子の息子たちが今年2月に大学を卒業したが、最近さらに金が掛かるようになった」と話した。息子の大学卒業を機に、夫と日本へ温泉旅行に行くため貯金していたが、その資金をすべて息子たちのために使った。「加入していた保険も解約して、子どもたちの家賃や英語のレッスン費、生活費などのために150万ウォン(約9万3000円)ずつ息子の口座に振り込んでいる。苦しいからといって、就職先を探している息子らに『バイトでもしなさい』と言うこともできずにもどかしい」

 韓国経済研究院のパク・ソンジュン委員は「中産層に加わることのできない青年層が社会不安を引き起こす可能性がある。晩婚化が進んで子どもの数も減り、高齢化社会を加速化させている」と語った。

企画取材チーム

趙義俊(チョ・ウィジュン)記者

パク・スチャン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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