わけも分からずファンドに投資、損失に泣く高齢者
金融機関にそそのかされ、貯めた金を投資
60歳以上の個人金融資産総額、27兆円に
京畿道城南市盆唐区に住むファン某さん(82)は最近、投資ファンドのニュースに接するたびに胸を痛めている。「元金を失うリスクがほとんどない」という銀行の話を信じ、日本の不動産市場に投資する派生商品型ファンドに3億ウォン(約2000万円)を預けたものの、1年6カ月後にその金が4分の1以下にまで減ってしまったからだ。たった7000万ウォン(約472万円)しか手にできなかったファンさんは「外食もせず、遊びにも行かずに貯めてきた財産だったのに、一体これからどう生きていけばよいのか」と嘆いた。
高齢化に伴い、金融商品を購入する高齢者が増えている中、損失に苦しむ高齢者の怒りが頂点に達している。金融機関が理解力や判断力の低下した高齢者をそそのかし、投資ファンドを購入させたため、被害が拡大したというわけだ。
◆説明文が難解な金融商品
「6カ月ごとに…株価が二つの繰り上げ償還条件(ダブルバリア)を満たせば年10%」「ファンダメンタルズ(銘柄の基礎的な情報)が良好な市場に投資し、ベンチマーク(基準点)以上の成果を追求」…。現在販売されている投資ファンドの説明文の一部だ。
コンサルティング会社、シニアパートナーズのキム・ヒョンレ常務は「金融商品の説明書は用語が難解で、システムも複雑なため、若い人でも理解しにくい。しかも高齢者は、ファンドの販売担当者の説明に、よく分からないままうなずくことが多い」と指摘した。このため、高齢者は販売担当者との意思疎通が不十分な状態で、印鑑を押し署名をしてしまうというわけだ。なじみが薄い金融商品に、よく分からないまま投資することで、損失を被った高齢者たちからの訴えが相次いでいる。金融監督院によると、調停申請者に占める60歳以上の高齢者の割合は、2006年には1.74%だったが、07年には3.86%、今年上半期は5.59%と増え続けている。
◆高齢者の被害を防ぐシステムが必要
韓国の個人の金融資産の規模は、今年9月末現在で約1714兆ウォン(約114兆6200億円)で、このうち60歳以上の高齢者は計400兆ウォン(約26兆7500億円)を所有している(興国金融研究所の推計)。金融資産に占める比率は時間がたつほど増えるとみられる。国民銀行の顧客に占める60歳以上の高齢者の比率は、06年の9.7%から、今年は11%にまで増えた。
だが、韓国では高齢の投資家に対し、元金を失うリスクがある金融商品を販売する際の基準は特に定められていない。
◆先進国では高齢者を保護するシステムを整備
日本では昨年、金融機関の高齢の顧客などを守るため、「金融商品取引法(旧証券取引法)」を改正した。これを受け、70%以上の金融機関が、70歳以上、85歳以上といった特定の年齢基準を定め、元金を失うリスクがある投資商品を高齢者に販売しないようにしている。だが、韓国では高齢化が急速に進んでいるにもかかわらず、高齢者を守るこうしたシステムがまったく整備されていない状況だ。
李敬恩(イ・ギョンウン)記者
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