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ウォン安の直撃受けた韓中間の行商人たち

「中国から荷物運んでも稼ぎはたった1200円」

運賃上昇+税関検査強化も痛手

「死ねというのか」と数百人が審査拒否

中国からゴマやトウガラシなどを積んできた韓国人の行商人たち。京畿道と忠清南道にまたがる平沢・唐津港の国際旅客ターミナル駐車場で、仲買人に品物を渡している。韓中貿易が盛んになるにつれ、行商人の数は増えたが、中国元の価値が最近上がっていることや、韓中両国の通関検査強化で、彼らは厳しい生活を強いられている。

 先月27日、西海大橋を仰ぎ見る平沢・唐津港国際旅客ターミナル。出国場からよれよれの服を着た人々が続々と出てきた。それぞれが押しているカートには、同じような荷物が積まれていた。干したトウガラシ・皮をむいたニンニク・ゴマなどを透明なビニール袋に平らに詰め、圧縮包装したものが幾重にも重なり、一番上には白いプラスチック瓶に入ったゴマ油が載っていた。

 彼らは「タイコン(代工)」「ポタリ(風呂敷包み)商」と呼ばれる韓国人の行商人たちだ。中国・江蘇省連雲港からの客船に乗ってきた人々は、入国手続きが終わるとすぐにターミナル駐車場に向かった。駐車場のミニバンでは仲買人や中間ブローカーたちが待機しており、彼らから荷物を受け取った。

◆大幅に減った韓中間の行商人

 今年初め、このターミナルは300人以上の行商人でごった返していたが、この日、駐車場に集まったのは100人ほどだった。品物を渡した後、ターミナル前にずらりと並び、たばこを吸う人々の表情は暗かった。

 「油のにおいをかぎながら、中国と韓国を往復しても、残るのはたった2万ウォン(約1200円)。客船の運賃は往復12万ウォン(約7500円)から17万3000ウォン(約1万800円)に上がった。わたしたちは“船宿者”(船に住むホームレス)だって」。そう言って53歳の女性は1万ウォン札2枚を見せた。

 仲買人のある男性は「北京オリンピック前までは、旅客ターミナル駐車場は市場のように混雑していた。ところが、輸入が減ったため、行商人の数も目に見えて少なくなった。ホームレスになった人もいるし、故郷で田畑を耕している人も多い」と話す。

◆残ったのは高齢・女性の行商人だけ

 関税庁は、中国と韓国を往復する行商人の数を今年8月現在で3129人と把握している。しかし、行商人たちは最大で1万人と推定している。西海岸(黄海岸)沿いの韓国の港と中国の港を往復する客船では現在、乗客の70%が行商人だ。

 彼らは通常、中国と韓国の双方の港で活動する仲買人と取り引きする。中国から韓国に来る時は干したトウガラシやゴマといった農産物を持ち込む。中国の農産物を持ち込む場合、50キロ(1品目当たり5キロ)までは関税がかからないため、関税率が高い干した赤トウガラシ(270%)やゴマ(630%)を持ち込み、仲買人に渡す。貿易障壁を人で越えるというわけだ。一方、韓国から中国に行く場合は、中国に進出した韓国企業が必要とする繊維や生地、機械部品などを持ち出す。

 2000年以降、中国との貿易が活発になったことから、行商人の数は大幅に増えた。実入りもよく、ひと月に100-200万ウォン(約6万3000-12万5000円)稼いだ。しかし、今年に入ってからは数が減り、今残っているのは50-60代の男性や女性だけだ。ひと月に10回、船に乗っても、稼ぎは20-30万ウォン(約1万3000-1万9000円)足らずだ。

◆レートと税関規制で大打撃

 こうした変化は、人民元の価値が上がったことに端を発する。1年前は10元=1260ウォンだったが、今は2110ウォンにまで上がった。同じ量の農産物を輸入するのに、費用が2倍近くかかるわけだ。利ざやが減ったため、関税が比較的低い緑豆など一部の農産物は、こうした行商人による輸入がストップしている。

 そのうえ、最近は中国産食品に対する韓国側の税関規制強化で検査も厳しくなり、持ち込める荷物が減ったことも、行商人の減少につながっている。ある仲買人は「原則は50キロだが、“タボ”(小規模貿易商たちが税関を通過しやすいように荷物を圧縮・包装)するため、80キロまでは持ち込むことができた。法と原則は守るべきだが、これまで見逃してくれた原則を急に振りかざすとは、行商人は死ねということか」と反発した。

 そしてついに10月20日には、中国から入国した行商人約600人が、入国審査と通関を拒否するという前代未聞の事態が起きた。平沢港旅客ターミナルで二日間、徹夜の座り込みをした人々は、10月23日に「平沢港小規模貿易連合会」の主催で、約700人を集め集会を行った。彼らは「生計型の行商人に対する関税庁の規制強化は“飢え死にしろ”といっているのと同じ」と主張した。

 韓国企業が中国に多数進出したばかりのころは、彼らのような行商人の数が常に不足していた。中国の工場で必要な中間資材・原料をその都度、行商人を介して送っていたからだ。しかし、今では中国に進出した韓国企業をめぐる事情も悪化し、中国に送る品物が減ったため、行商人減少の一因となっている。

平沢=パク・スチャン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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