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〈連載―世界変動〉陰るハリウッド(1/3ページ)

2009年1月1日3時20分

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写真米カリフォルニア州のハリウッド。ジェームス・ディーンのそっくりさんが街灯にもたれ、観光客に声をかけられるのを待っていた=中田徹撮影

■異色のヒット

 昨年11月12日、ニューヨークの若者文化の中心地ソーホーで、異色の映画が封切られた。題は「スラムドッグ・ミリオネア」。舞台はインド。演じるのもすべてインド人俳優だ。

 商都ムンバイのほこりっぽいスラム街を駆け抜ける子どもたち。生き生きとしたエネルギーが、スクリーンから劇場内に広がる。

 学校を出ていないスラム育ちの少年は、テレビのクイズ番組で巨額の賞金を手に入れられるのか。夢物語のようでありながら、貧困や犯罪、宗教問題など深刻な社会状況が織り交ぜられ、話は劇的に展開する。英国のダニー・ボイル監督(52)らスタッフがムンバイに1年近く住み込み、実地で撮影した。

 当初は全米10館でスタート。ハリウッドのスター俳優は見あたらず、目を驚かす特殊撮影もない。英国の映画会社が製作し、予算も米映画の大作より1ケタ小さい。それでも公開直後から、ブログなどで絶賛の声が相次いだ。

 「パワーに圧倒された」「難問に直面してもすり抜ける器用さがうらやましい」

 年末までに上映は600館近くに増え、ボストンやロサンゼルスで映画批評家協会賞の作品賞や監督賞を受賞。ゴールデングローブ賞では4部門でノミネートされた。

 12月4日夜、ロサンゼルス市内のバーで開かれたお披露目のパーティーは、スター女優やプロデューサーが行き交い、店の外まで人があふれた。今では、ハリウッド映画の頂点に立つアカデミー賞の最有力候補とも言われる。

 米国流の成功物語を達成しつつあるかにみえるボイル監督。だが、その口からは、こんな言葉が出た。

 「次もインドで撮りたいね。米国は、熱気にあふれる映画を作るエネルギーを失ってしまったから」

■カネ切れの恐怖

 ハリウッドは今、「二重苦」におびえる。

 一つは「カネ」だ。

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