「さらば歌舞伎座　来年建て替え、さよなら公演開幕」の記事詳細：イザ！

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　平成２２年４月公演を最後に建て替えられる東京・東銀座の歌舞伎座で３日、名作やゆかりの深い作品を１４カ月間にわたって送るさよなら公演の第１弾「壽初春大歌舞伎」が開幕する。幕開けにふさわしくベテランから若手まで歌舞伎を代表するスターが勢ぞろい。その中から「壽曽我対面（ことぶきそがのたいめん）」の中村吉右衛門、「鷺娘（さぎむすめ）」の坂東玉三郎、「春興鏡獅子（しゅんきょうかがみじし）」の中村勘三郎をピックアップする。（生田誠）

　■吉右衛門「曽我五郎」　役者ぶり出す

　昭和から平成にかけて、歌舞伎座の舞台を支えてきたのは、尾上菊五郎、松本幸四郎、中村梅玉、中村魁春ら昭和２０年前後に生まれた世代だ。その一人、中村吉右衛門が、かつてない豪華メンバーがそろう「壽曽我対面」の主役、曽我五郎を務める。

　「（中村）萬之助の時代にラジオの収録がありまして、父から教わりました。（舞台では）昭和５８年以来の２６年ぶりになります。ご指名ですが、この年齢（６４歳）で前髪の役は照れくさい」。父を討たれた五郎時致（ときむね）が、兄の十郎とともに、仇（かたき）である工藤祐経を富士の巻狩で討ち果たす。それに先立ち、兄弟が小林妹舞鶴のはからいで工藤の屋敷を訪れ、仇と対面する場面が描かれる。

　２人の物語は「曽我物」として頻繁に上演され、「助六」「矢の根」といった歌舞伎十八番の荒事にもなっている。力強さを強調する役だけに、近年は若手が務めることも多い。

　「気持ちはございますが、１７、１８歳の若者に見えるかどうか…」

　さよなら公演ならではの豪華な配役として、ほかにも主役級がそろう。兄の幸四郎が工藤、菊五郎が十郎、梅玉が鬼王新左衛門、魁春が小林妹舞鶴に。息子たちの世代の市川染五郎、尾上菊之助、尾上松緑らも出演する。

　「何を得意としているのか。それぞれの役者ぶりを出せる芝居」と吉右衛門は話している。

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　２７日まで。昼の部（開演午前１１時）では「祝（いわう）初春式三番叟（さんばそう）」「俊寛」「十六夜（いざよい）清心」、夜の部（同午後４時半）では「鰯（いわし）売恋曳網（ひきあみ）」も上演される。２万～３０００円。

　■玉三郎「鷺娘」、勘三郎「鏡獅子」　女形、艶やか

　さよなら公演には歌舞伎を代表する、優美な女形の舞踊作品が並ぶ。昼の部では、坂東玉三郎が、海外でも評判を呼び、シネマ歌舞伎にもなった「鷺娘」を踊る。歌舞伎座では平成１７年５月、十八代目中村勘三郎襲名披露公演以来、４年ぶりとなる。

　「いろんな寂しさもあれば、派手な要素もあって起伏に富んだ物語性があります。『娘道成寺』同様に女の妄執をよく表していると思います」

　雪の中に現れた若い娘。実は白鷺の精であり、さまざまな恋模様をかれんに見せながらも、やがて、地獄の責め苦を受ける苦しい姿に変わっていく。江戸時代に誕生した変化舞踊の中の一つであり、玉三郎が古典と現代感覚を融合させた優美な作品でもある。

　夜の部は約１時間に及ぶ歌舞伎舞踊の大曲「春興鏡獅子」を中村勘三郎が踊る。

　「ありがたい、うれしいですよ。２０歳のころから踊らせていただき、何回も何回も勉強させてもらった」

　祖父に当たる六代目尾上菊五郎が得意とし、父の十七代目勘三郎も演じた。

　「先輩たちに感謝しながら、自分との戦いになります」という。

　襲名後の最初の「鏡獅子」は、生まれ育った歌舞伎座と決めていた。それが実現したのは平成１９年１月。再び巡ってきた大舞台で、江戸城の新春、鏡曳きの主役となった小姓弥生を務める。

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　◇おことわり　番組や公演の内容・日時は、放送局・主催者側などの都合により、一部変更されることがあります。

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