穂別診療所ブログ

一言メッセージ :北海道にあるむかわ町国保穂別診療所です。町内や穂別診療所の情報を発信していきます

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診療所

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今年1年お世話になりました

今日で2008年がおわりますね。今年1年このブログをたずねてくださりありがとうございました。今年は皆様にとってはどのような年でしたでしょうか。
診療所にとっては大きな転換となる年でした。本日北海道新聞に診療所の記事が出ておりました。
新聞で報道されていますように私はこの12月末で退職し、夕張にある医療法人「夕張希望の杜」に移籍します。平成10年に当時の町立穂別病院に就職して以来約10年間穂別の地域医療を行ってきました。地域医療はどうあるべきか色々と考えながら取り組んできました。初期救急医療も僻地診療所の使命と考えて取り組んできました。しかし、少ない人数で24時間、365日を対応するのは非常に厳しかったのは事実で、私にとっては大きな負担した。地域医療は医療機関だけではなく、住民、行政が一体となって展開していくべきだと思っています。しかし、診療所がこのように初期救急対応をしていることは当たり前のことで、そのために医師や看護スタッフがどれほど大変な思いをしているかということが行政にも住民にも伝わっていなかったようです。
今回他の町の時間外救急患者さんの数を色々と調べる中、人口比で考えると穂別は北海道の中でもかなり多いということがわかりました。今年は町報や診療所便りなどで、適正な時間外を受診してくださるように働きかけてきましたが、実際は時間外の患者さんの数は特に変わりませんでした。
行政もそれを放置してきたと思います。実際12月から町が住民説明会を開いてからは明らかに時間外受診は減少しています。もっと早く行政が動いて、しっかり町民にアピールしてくださっていれば今回のような事態は防げたかもしれません。
今回私が穂別を辞めることにした最大の理由は穂別の地域医療を継続的に守りたいと思ったからです。一見矛盾しているようですが、少ない医師で継続的に地域医療を支えるのは限界と思います。そうするとやはりシステムとして継続性を保つ必要があります。そのひとつの選択が夕張への医師派遣の依頼であり、時間外救急を含めた地域医療に対する行政、住民の意識変化への期待です
実際はかなり厳しい状況ですが、今後行政、住民が地域医療再生のために立ち上がれば、素晴らしい地域医療を創っていけると信じています。
あと今回のことをきっかけに道内の各自治体病院を運営する自治体、そして住民の方々が気づいてほしいと思います。どこの町も少ない医師で同じように地域医療を守るために24時間、365日の救急対応をしています。それを当たり前と思わないでほしいのです。いつ医師が疲弊して辞めるかわからないような状態でみなさん必死に頑張っています。なかなか長く僻地で勤めることは困難で、1人辞めると補充するのは容易なことではありません。穂別のようにならないように気をつけてください。今いる医師をまずは大切にしてください。行政、住民が気を配るようにしてください。給料を上げればそれで済むという問題ではないのです。行政、住民の協力がしっかり得られればその地域で働きたいという医師はきっと現れるはずです。地域医療崩壊が叫ばれ、医師を増やそうと医学部の定員も増えましたが、いくら医師が増えても今のような北海道の僻地に好んできてくれる医師はなかなかいないと思います。医療スタッフが働きやすいような環境をまず整えるのが先決だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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当方ブログ訪問有難うございました。
上記記事拝読いたしました。
地域医療最前線でのお勤め大変ご苦労様でした。引き続きのご活躍を祈念しております。

2008/12/31(水) 午後 0:13 [ kanken? ]

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訪問ありがとうございました。長い文章にお付き合いくださりありがとうございました。ブログを拝見しました。医学生の7割が条件が合えば僻地に行くと言っていますが、その「条件が合う」というのは決してお金ではないはずです(記事には書かれてありませんが)。医が算術というのはおかしい話しだと思いますし、以前のように仁術というのもおかしいと思います。そのせいでどれだけの医師が過労死をしてきたことか。なぜ医師だけ夜勤後の休みが保証されていないのか。夜勤明けのパイロットに操縦は絶対させないですよね。それは普通に考えればおかしいことだと分かるのですが、いままであまり医師が口を開かなかったので皆さん知らなかったのだと思います。一番の確信犯は国です。労働基準法を逸脱した勤務をしているのを知っていて放置してきました。 削除

2008/12/31(水) 午後 2:40 [ hobeshin ]

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地域医療の実態を良く知らないままの推論お詫び申し上げます。

今後、積極的に地域医療の現状問題点、今後のあり方等についてご発言・情報発信されていかれることを期待しています。

なお、おっしゃるような勤務実態、個人の善意に頼ったようなシステムでは成り立ち行かないのは当然と思いますので、無知を恐れずに申し上げれば、やはり国の一元管理の下、各地域に必要十分な人員配置を行うこととし、また常態として夜勤を要するのなら、工場のように「直」制を採ることとする等、医療体制について抜本的な改革を考えなければならない時期に来ているように思います。

2008/12/31(水) 午後 6:47 [ kanken? ]

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いえいえ、お詫びなどはされなくて構わないです。一般の方々にはまだまだ実態が知らされていないのが現実です。むしろこのように色々と医療について考えて下っていただきありがたいと思っています。確かにこのままでは立ち行かなくなると思います。国が一元的に管理することに関しては医療界の中でも議論されていると思いますが、反対者も多いですし、開業お含めて考えると現実はそう簡単ではないような気がしています。夜勤制度に関してはなんとか早く「当直」といわれている仕事が夜勤として認められるようになってほしいですね。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 削除

2008/12/31(水) 午後 9:25 [ hobeshin ]

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ブログ拝見させて頂きました。できるだけ戻って拝見しました。
今回の結末になるとは、一木先生が穂別町に来られた時には本当に
永住して下さるものと安易に考えておりましたので、非常に驚愕しました。けれど、地域医療の問題点は改善されるどころか、
悪化傾向であり、診療所が確実に消滅して行きます。
何故夕張にとは思いますが、今後の北海道全体の医療・介護や雇用問題を改善すべく立ち上がってくださるものと大変僭越ながら願っております。更に行政への提言は元より、私たちへの今後の指針となるべき事と深く感謝申し上げます。 削除

2009/1/1(木) 午前 2:33 [ ビオラ ]

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ビオラ様、コメントありがとうございます。私自身当初は辞めるという選択肢はあまりありませんでした。しかし、ずっと定年まで勤めることは困難だろうという思いはずっとありました。いい形で診療所を継続していくためにはどうしたらよいかということで今回の結論を出しました。色々とご批判もあるとは思うのですが、このことで行政、住民の方々(穂別だけではなく、北海道全体の)が地域医療についてしっかり考えてくださるきっかけになることを願っています。 削除

2009/1/1(木) 午前 9:48 [ hobeshin ]

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