ゲームの世界から諏訪へ聖地巡礼

掲載日時 2009-1-1 6:00:00 | トピック: 地域

 諏訪信仰に根差した神社群がいま、県内外のゲーム愛好者から静かな注目を集めている。諏訪地方の神話を基にしたキャラクターが、自費製作ゲームの人気シリーズに登場したためだ。アニメやゲームゆかりの地を訪ねる「聖地巡礼」の参拝者も増えており、新たな誘客の要素として期待する地元の声も出てきた。
 「いつまでも絵を描き続けられますように」「絵が上手くなりたい」。諏訪大社の絵馬奉納所。志望校合格や無病息災を願う絵馬に交じって、アニメ調のキャラクターが描かれた個性的な絵馬が並ぶ。こうした絵馬について、あるゲーム愛好者の男性は「昨年7月ごろから見られるようになった」と話す。
 原因は、有志が製作しているパソコン用ゲーム「東方プロジェクト」シリーズだ。弾を避けながら敵を倒すシューティングゲームで、昨年夏に発表された10作目「東方風神録」に「洩矢(もりや)諏訪子」「八坂神奈子」「東風谷(こちや)早苗」という女性が登場。諏訪の伝説にちなみ、「洩矢の鉄の輪」「目処梃子乱舞」「神の粥(かゆ)」などの技を繰り出す。
 キャラクター設定や世界観などが受け、この作品もファンを獲得。県内外から愛好者が諏訪地方を訪れ、▽諏訪大社上社、下社(諏訪市、茅野市、下諏訪町)▽洩矢神社(岡谷市)▽手長神社、足長神社(諏訪市)▽神長官守矢史料館(茅野市)―などゆかりの地の記事をインターネット上に掲載している。
 「聖地巡礼」は、県内外の各地で地域振興に結び付けられている。埼玉県鷲宮町の鷲宮神社は、初詣の参拝客が約17万人増の約30万人に倍増。アニメの登場キャラクターをあしらったみこしを作ったり、観光学の研究テーマにしたりと、産官学連携で地域おこしを展開している。県内では、アニメ2作品の舞台となった木崎湖(大町市)周辺に、作品終了後10年が経ってもファンが通うという。
 諏訪地方でも効果はじわりと表れている。神長官守矢史料館の永田光弘館長は「風林火山効果があった去年に近い入館者数がある」。巡礼現象を機に積極的な誘客を狙う動きもあり、ゲーム愛好者の男性(27)=岡谷市=は「せっかく県外から観光客として愛好者が来るので、何かイベントを開ければ」と話した。



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