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鹿県防災ヘリ 本土内も救急搬送/来年度始動
出動基準見直し
(2009 01/01 00:18)
鹿児島県防災航空センターのある枕崎空港から離陸する県消防・防災ヘリさつま=枕崎市
 鹿児島県は、県消防・防災ヘリ「さつま」の救急搬送業務を、現在メーンとなっている離島と本土間だけでなく、本土内の救急搬送にも拡大することを決めた。出動基準の見直しに着手しており、来年度中に本土内搬送をスタートさせる。県はドクターヘリ早期導入も並行して進める方針。防災ヘリ積極活用を先行することで、ドクターヘリ導入までにヘリ救急の課題を洗い出したい考えだ。
 県防災ヘリは2007年度、災害被害状況調査や防災訓練などで208回出動。うち救急搬送は54件で、種子屋久、甑島など離島から本土への搬送が46件と大部分を占める。ヘリ以外に適切な手段がない「非代替性」が出動基準にあるため、救急車搬送が可能な本土内ではほとんど使われていない。
 県は昨年10月、ドクターヘリ検討会を設置し、早期導入へ協議中。会では、防災ヘリについても積極活用を望む声が医療関係者などから出されていた。
 県保健医療福祉課によると、現在は搬送要請元の医師が患者に付き添いヘリに搭乗するが、出動基準見直しでは受け入れ側医師の搭乗も検討。離島、へき地で長時間医師が不在になる問題の解消を図るほか、「往路から医師が乗ることで、事故現場へ直接出動するドクターヘリ的運用も可能になる」という。
 一方、防災ヘリの他の用途や現在の離島急患搬送に支障をきたさない配慮が必要。すでに防災ヘリを急患搬送に積極活用している熊本県や高知県でも、出動は年間約200件と一般的なドクターヘリの約半分にとどまる。
 防災ヘリ活用に限界はあるが、同課の三角浩一課長は「ドクターヘリ導入へ向けた関係機関のスキルアップになる」と期待する。
 国立病院機構指宿病院の田中康博診療部長(循環器内科)は「ヘリは渋滞に関係なく直線的に運べるのが魅力。特に心臓や脳血管疾患を、血栓溶解術や冠動脈形成術などで救命できるかどうかは治療開始時間に依存する。時間の制限でできなかった治療がヘリで可能になれば、救命率が上がる」と話している。
 
消防・防災ヘリ「さつま」
 鹿児島県が1998年に導入。枕崎市の枕崎空港にある県防災航空センターを基地とし、指宿、南薩の2消防組合派遣の消防士6人が常駐し、運航は鹿児島国際航空に委託している。災害応急対策や救急、火災防御、救助などを行う多目的ヘリ。機体は米国製ベル式412EP型。航続距離約700キロ、巡航速度時速200キロ。

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