仕事と住居を失った非正規社員らを支援する「年越し派遣村」が31日、東京都千代田区の日比谷公園内に開設された。派遣切りにあった100人以上の失業者らが次々と集まり年末年始を公園内で過ごす。360人を突破したボランティアらが5日までの開村期間中に1日3回の食事提供や労働相談を行い、宿泊場所も用意している。
労働組合や市民グループで作る実行委員会によると、31日の入村者は129人。山口県で職を失った人や所持金がなくなり、数時間歩いて来た失業者もいた。一部は年明けに生活保護の申請を行う予定という。
「野垂れ死にするかもしれないと思ったこともあるが、これでどうにか年を越せる」。群馬県の自動車関連工場の派遣契約を10月末に打ち切られ、11月中旬に寮を退去させられた男性(41)は、午前中のうちに入村、安心したような笑顔を見せた。
男性は、さいたま市や都内のネットカフェを転々とした後、公園で野宿しながら1日カップラーメン1杯で飢えをしのいできたが、所持金は数千円にまで減っていた。ようやく年明けまでの居場所が見つかり「来年は仕事を見つけ、お世話になった人に恩返しをしたい」と語った。
開村式で、NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」事務局長で村長を務める湯浅誠さんは「年末、年始の命を支える活動を通じ、労働者派遣法を中心とする『働かせ方』のおかしさを訴えていきたい」とあいさつした。カンパやボランティアなどの問い合わせは派遣村の臨時電話(090・3499・5244)へ。【東海林智、山本太一】
毎日新聞 2009年1月1日 東京朝刊