2009年1月1日(木)「しんぶん赤旗」
キユーバ革命50周年
封鎖固執の米が孤立
連携踏み出す中南米
【メキシコ市=島田峰隆】キューバは一日、米国に支えられたバティスタ独裁政権を倒した一九五九年の革命から五十周年を迎えます。米国は経済封鎖でキューバを孤立させようと画策してきました。しかし今では、対米自立を目指す流れが中南米全体に広がり、米国が逆に孤立する新しい状況が生まれています。
米国は一九六一年に革命政権の転覆を狙う反革命軍を組織してキューバに侵攻させ、これが失敗に終わると、翌六二年、対キューバ全面封鎖を始めました。九〇年代には、対キューバ貿易の禁止・制限を他国に強制する法律や第三国の企業活動も規制する法律を制定。キューバ政府によると、六二年以来の損害は累計で九百三十億ドルにのぼります。
17年連続採択
昨年十月の国連総会は、対キューバ経済封鎖の解除を求める決議を過去最高の百八十五カ国の賛成で採択しました。同様の決議採択は十七年連続です。
特に注目されるのは、米国の圧力でキューバから切り離されてきた中南米諸国が、キューバとの連携強化へ大きく踏み出したことです。
昨年十二月半ばには、ブラジルが、米国抜きでキューバを含めた中南米カリブ海全三十三カ国を集めた初の首脳会議を開催。キューバからはラウル・カストロ国家評議会議長が出席しました。
会議は、対キューバ経済封鎖の解除を求める決議を採択。今後、米国抜きでキューバを含めた三十三カ国でつくる地域機構の設立を検討することを確認しました。
同時開催されたリオグループの首脳会議は、キューバ加盟を正式に承認。前政権のもとで関係が悪化していたメキシコのカルデロン大統領は、ラウル・カストロ議長と会談し、〇九年に相互訪問することで合意しました。
「中南米で風がどちらの方向へ吹いているのか。米政権にとって、それを見極めるのに役立つ会議だ」
ブラジルのアモリン外相は、キューバを含めた会議が開かれた意義に触れ、中南米諸国がもはや米国言いなりにキューバ孤立化に同調しないことを強調しました。
医療や教育で
キューバ国内では、革命以降、医療や教育分野で顕著な成果を上げています。新生児一千人あたりの死亡者数は五・三人と米国(七人)より低い数字です。
一方、生産力の強化、低賃金の解消、汚職腐敗の一掃など、解決すべき課題も少なくありません。昨年二月にラウル・カストロ氏が新議長に就任して以来、政府は国民的な議論を呼びかけ、改革の試みを始めています。
キューバ共産党は今年後半に党大会を開きます。革命の成果を発展させつつ、新しい課題をどう解決するのか注目されます。
リオグループ 一九八〇年代の中米諸国での武力紛争を、米国の干渉を排して平和解決する目的で中米の近隣諸国が結成した四カ国グループが前身で、八六年に中南米八カ国が結成。現在、キューバを加えて二十二カ国が参加。加盟国間の政治的協力、民主主義の推進や国際問題、紛争の解決策の探求―などが目的です。