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【静岡】

児童買春ない世界へ 県立大生がカンボジアの実態を雑誌に

2008年12月30日

街頭で雑誌を販売する、学生NGO「あおい」のメンバー=静岡市葵区で

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 静岡県立大(静岡市駿河区)の学生NGO(非政府組織)「あおい」が、カンボジアの児童買春問題を啓発する雑誌「かぼちゃ」を創刊した。性的搾取の実態について子どもの写真を交えながら解説し「買春による被害者をなくそう」と訴えている。 (静岡総局・須藤恵里)

 「いい仕事を紹介するとだまされ、バッタンバン州に連れて行かれ、拷問、強姦(ごうかん)されました。裁判を起こしたけど、わいろがあるので負けました」

 「かぼちゃ」には、被害に遭ったカンボジアの14歳の少女の過酷な体験談が、淡々とつづられている。A5判、40ページ。1冊200円で、売上金の半分はカンボジアの子どものために使われる。

 「あおい」は2005年、当時の3年生数人で結成された。「国際社会にどのように貢献できるか」と議論を重ねる中で、生活のために売買される子どもの存在を知った。

 そこで06年から通算5回、カンボジアへ行き“現実”を見てきた。「選択肢もなく犠牲になっている子どもたちがいるという事実を受け止めきれなくて…」と、3年の片岡春代さん(20)。

 援助の現金を送ることや学校給食への支援も考えたが「継続しないと、責任を果たしたことにならない。日本にいてもできることは、みんなに知ってもらうこと」との結論に達し、啓発雑誌を発行することを決めた。

 メンバーは現在、19人。今年8月に編集作業を本格的にスタートさせた。9月に首都プノンペンで現地の若者やNGOにインタビューし児童買春が子どもたちの身近にあることを肌で感じた。

 発行費をやりくりするため、100社近い企業に電話をかけて協賛広告を募る一方で、雑誌を置いてもらえるよう静岡市内の書店を回った。1500部作製し、700部を販売した。

 「カンボジアの児童買春の実態を知ってください」。メンバーたちは今月下旬、同市葵区の繁華街で道行く人たちに声をかけて雑誌をPRした。無視する人、足を止めて興味を示す人…。反応はさまざまだった。

 2年の朝日真穂さん(20)は「問題を認識する人が増えれば、社会の目が厳しくなり何かが変わるはず。若い人たちに広く読んでほしい」と力を込めた。

 「かぼちゃ」は静岡市内の主要書店に置いてある。

 

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